弦楽器 Q&A
弦楽器に関するいろいろな疑問にお答えします。
2023年12月31日をもちまして、新規投稿・コメントの書き込みを終了させていただきました。
5203件のQ&Aがあります。
Q:イタリア人製作者について
投稿者:悩める母 投稿日時:2007/09/25 04:04 ---195.190.45
はじめまして。
将来、ヴァイオリンで音大に進むことを目指す、男子高校生を持つ母親です。
現在、本人の受験及びその後を考え、また、先生のアドバイスもあり、楽器の買い替えを考えております。
先日、コンテンポラリーというカテゴリーに入るのでしょうか、2005年に製作された、Poggiさんのお弟子さんでGiampaolo Saviniさんという方のバイオリンを拝見しました。
こちらの書き込みでは、別の名前のお弟子さんの記載が数件あったようですが、このSaviniさんについての情報をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけますか。
(インターネットで調べたところ、お一人の日本人のお弟子さんのHPは見つかりました)
200万〜1,000万円台の、いろいろな製作者の楽器を試奏させて頂く機会に恵まれたところ、この方の楽器(400万だそうです)が弾いていても、聴いていてもとても良い感じでした。
この値段なら、何とか出してあげられるかも、と思い始めているところです。
一つだけ気になったのは、他の見知っているヴァイオリンに比べ、ネックがかなり太めだったということです。
このネックの太さというのは、普通、製作者によって、その太さの差がはっきり分かる程、いろいろあるものでしょうか?
本人は細いネックよりも弾き易い気がすると、その場では申しておりましたが、一寸触るのと、この先、長く弾いていくのでは、また感じ方も変わってくるのでは、と危惧しております。
上記二点につき、何か情報又はご経験からのご意見を伺えれば、幸甚です。 よろしくお願い申し上げます。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 09:21 ---4.232.16
スガラボットさん2007年09月13日(木) 08時46分投稿「楽器の格」スレッドをぜひ参照してください。最新Q&Aのうしろのページにまだ残っています。
念の為に少し抜粋させていただきますが、
>楽器のレスポンスに基づいた「格」はオールド、モダン、コンテンポラリーの区分とは別に存在します。それは材料と作者の工作技術(精度)、それと経年変化や取り扱いの結果による楽器の健康度に依存します。そしてこれが一台々々作りの違う手工楽器における楽器の個性となります。
>そして、この第一級の「格」の楽器の価格がコンテンポラリーで300万、モダンで1000万〜、オールドで5000万〜と言うのが実情でしょう。
ここでいう楽器の格は、操作性、レスポンス、音の伸びや鳴りで決まり、工作精度が大きく関わってきます。高度な技術の修得を目指される方は、この格を指標にして楽器の購入を考えるべきだと思います。
さて、GianPaolo Saviniについてですが、この人は大変寡作のようで、なかなか実際に見ることも出来ないし、また弾いたという人の話も聞きません。私も試奏の経験がありませんので、下記の評価は、あくまで伝聞に依った間接的なものとお考え下さい。
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 09:22 ---4.232.16
(続き)
GiamPaolo Saviniはコンテンポラリーの分類に入り、400万というのは少々高価に過ぎる気がしますが、一般的に、楽器の格としてはIvano Coratti、Thomas Pilar、30以上経ったGeo.Batta Morassiと同格で、トップクラスに入るものと考えられます。
>200万〜1,000万円台の、いろいろな製作者の楽器を試奏させて頂く機会に恵まれたところ
この価格帯の比較では、恐らく精度がいまひとつのコンテンポラリーや造りのそれほど良くないモダンもいくつか混じっていただろうと推察します。1000万円台ですと一番若いモダンでもっとも高い格の楽器が購入可能の価格帯ですが、弓を買うことなども考えたら400万のSaviniは良い選択かもしれません。
Poggiの系列は以下のようになっています。このうち、Nessiはやや格下に考えられ200万前後、石井秀太郎はさらに下で、私が見たり聴いたりした感覚では100万より下の格と考えています。Guicciardiは世評は高いですが、小売価格が900万とかおかしな噂を聞くので、実情はよく分かりません。
Poggi - (Guicciardi), GianPaolo Savini - Massimo Nessi,石井秀太郎
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 09:24 ---4.232.16
(続き)
>一つだけ気になったのは、他の見知っているヴァイオリンに比べ、ネックがかなり太めだったということです
指板側の傾斜によって使い勝手はかなり変ってくると思います。例えば、太いネックで指板側がフラットだと指の配置が非常に困難になり弾きにくくまりますが、適度な傾斜があれば、太さはあまり気にならないはずです。お子さんの感想を聞く限りでは、その辺のバランスはしっかり取れているように見受けられます。弾いている本人が弾きやすいと感じることが大切です。
もし決めかねるようなら、1週間くらい借り受けて、ご自宅で弾き勝手を確認されるのも良いと思います。
参考までに、私が楽器を選ぶときは、例えば、Carl Fleschで3度や6度の響きに異常が感じられないか(倍音や鳴りの確認)、オクターヴやフィンガードオクターヴ、10度が自由自在にこなせるか(ネックや指板の傾斜等の確認)、アーティフィシャル・ハーモニクスが3点ハ音まできちんと出るか(精度の確認/格の高い楽器でもこれを満たしていないケースをしばしば見ます)あたりを判断の基準にします。あとはバッハのフーガやパガニーニでも弾いて、自分にとって弾きやすく、音がきちんと遠くまで伸びているようであれば、購入を検討します。
あと、今お使いの弓があまり良いものでないようなら、弓の購入も考えたほうがいいですよ。高い格の楽器の能力を充分発揮させるためには、弓もある程度良くないと駄目です。
投稿者:悩める母 投稿日時:2007/09/25 12:01 ---195.190.45
クロアシ様
早速の詳細なお返事を、ありがとうございました。
昨日、夜明けまでかかって過去ログを全てチェックしたつもりでしたが、最後の方は疲れて見落としていたようです。
教えて下さった部分を取り出して、読ませていただいているところです。
この楽器に関する情報ご意見その他、とても参考になります。
弓については、正に仰る通りです。
楽器の購入よりも、正直、弓の買い替えの方を先にすべきと思っていたくらいです。
もし、このSaviniさんの楽器を所有する場合の、弓のランクの目安(お値段ということになるのでしょうが)は、通常どのくらいとお考えになられますでしょうか?
楽器試奏の時には、先方のご好意で200万クラスのものを使わせて頂きました。試しに、息子が今使っている楽器もそれで弾かせて頂いた時、同じ楽器でも弓の良し悪しで、やはり違うというのは明白でした。
ただし、楽器だけで既に400万となると、果たして次に弓に幾ら
かけられるか・・・。出来れば両方で400万くらいであればベストだったのですが。
因みに、この200万の弓の、前の持ち主の方は、2,000万くらいの
楽器だったとのお話でした。
投稿者:悩める母 投稿日時:2007/09/25 12:02 ---195.190.45
(長くて申し訳ありません。前述の続きです)
話は変わりますが、この楽器とは別に、先週、先生が、“音大を受けるならこれくらいは持たないと”と仰って、息子に試してごらんと持たせてくださった楽器があります。
Petrus Gagginiさんという方の1939年作のラベルがあります。400万弱というお話でした。
海外の楽器販売業者のHPにも、より後期の作品が、結構な価格で販売されているのを見ました。
金額に見合っているかどうかの判断は、到底分かり得ませんが、勿論今使っているものよりも、ずっと音量も出、音色も良い物です。
但しG線が余り良く響かず、昨日、知り合いの楽器屋さんにそのことを伝えて見て頂いたところ、G線だけが、既に他の線よりも強いタイプであるにも拘らず、響きが悪く、バランスとして余り良くないかもしれないと言われました。 私共としても、やはり全体で考えても、Saviniさんの作品の方が、断然良いと感じました。
Saviniさんの物に決めるかどうかは、クロアシ様のアドバイスのように、いろいろ試して慎重に決めるとして、この2本を比較する場合、値段もそれほど差がないので、弾いたり聴いたりして本人や周りがより良いと判断した物に決めるのが(先生には申し訳なく、お断りの言葉も熟慮しなくてはならないのですが、やはり高い買い物ですので)一番だと思うのですが、どう思われますか?
素人判断だとは思いますが、ある楽器に出会ったときに、いろいろ検討した上で、この楽器ならこの金額を払ってもいいと思えるかどうかが、現在、私共親子が最終的に判断できるポイントかと思っている今日この頃です・・・。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 13:44 ---4.232.16
>弓のランクの目安(お値段ということになるのでしょうが)は、通常どのくらいとお考えになられますでしょうか?
楽器の価格:弓の価格=2:1などといわれますが、これはあくまで価格上の目安です。コンテンポラリーの場合、新作弓は平板に鳴って相性が悪いので、選択肢はアンティークになると思います。私の経験では、フランス製アンティークの場合120万‐200万くらいでしょうか。50万前後だと音がボケて楽器が鳴りません。鳴りが悪いと音が取りにくくなるなど練習に影響が出ます。
ただし、格の高い楽器の性能を本気で限界まで引出そうと思ったら、Sartory、Peccatte、Tourteクラスになってしまうでしょう。高望みするとキリがありません。
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 13:45 ---4.232.16
(続き)
私の狭い経験も含めて、現実的なお話をします。私はSaviniと同格のイタリア製コンテンポラリーに無銘ドイツ製アンティーク弓を使用しています。師から格安で譲られたため価値が分からなかったのですが、音色で比較した所、以下のような結果になりました(価格はおおよその目安で、不等号は私の楽器を基準に主観的に判断した鳴り具合です)。この弓でも楽器はそれなりに鳴ります。上記でフランス製アンティーク120万を下限に設定した根拠でもあります。
Francois PECCATTE(1821-1855, 400万)>>Eugene Nicolas SARTORY(1871-1946, 200-300万)>>Etienne PAJEOT(1791-1849, 200-300万)=Alfred LAMY(1886-1992, 150-200万)=THOMASSIN(150万)>Victor Francois FETIQUE(1872-1933, 100-200万)>私の無銘ドイツ弓=Jacob EURY(1765-1848, 120万)=Emile Auguste OUCHARD(1900-1969, 120万)>>Charles Nicolas BAZIN II(1847-1915, 50-60万)=Charles Louis BAZIN(1881-1953, 50-60万)
私の弓はドイツ製でブランドも無いので、実際は100万以下のはずです。そこで提案なのですが、もし今Saviniに合う弓を探すなら、将来的にセカンドボウにするお積もりで、上記のブランドに匹敵する音色の、状態の良い無銘のドイツ製アンティークなどにすると、いくらか経済的な負担が軽くなるのではないでしょうか。フランス製はブランドの分だけ割高な傾向があります。
そもそも、お子さんのお使いの弓はどのくらいのレヴェルでしょうかね。場合によっては、しばらく資金を積み立てながら、それでしのぐことも可能かとも思うのですが。
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 13:48 ---4.232.16
(続き)
蛇足ながら、まだ過去ログに掲載されていないので、私が実際行っている弓の選び方をもう一度紹介させて頂きます。
ドイツやフランスなど製作地にこだわらずめぼしいアンティーク弓を10数本出してもらい、高音を中心とした単純ななパッセージ(例えば、シベリウスとかモーツァルトVn協奏曲第5番の冒頭のようなもの。重音を含む複雑なパッセージはダメ)を数小節弾いて、鳴りの良かった順に弓を並べ替えていきます。このとき、自分の弓もこの順列のなかに入れて見ると、自分の弓のレヴェルが一目で分かるでしょう。フランス製アンティークはだいたい価格が決まっていますので、それによってそのなかのドイツ製が実際の価格によらずどれほどの音色のレヴェルを持っているか見当がつきます。
比較の際、音の印象、鳴り等メモを取ることも忘れずに。特にLamyとかSartoryのようなブランドボウとの相対評価を記しておくと、他所の楽器店で再度検討する時など同じブランドの弓が出てくる可能性があり、試奏室の音響特性などに引きずられて混乱することなく、比較検討が容易になります。
ところで、アンティーク弓にはコンディションの問題があります。へたり具合の見極めが難しいようでしたら、適当な新作弓を出してもらって形状を比較すると良いでしょう。先の方までへたっていると厳しいですが、少し右か左に曲がっている、ちょっとへたっている程度だと補修が利きます。補修費も含めてもまだお買い得というケースも稀ではないでしょう。
(すみません、もう少し続きます)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 14:33 ---4.232.16
(続き)
>Petrus Gagginiさんという方の1939年作のラベルがあります。400万弱というお話でした。
一般論として、300万のコンテンポラリーの方が400万のモダンより格が上になります。私はPetrus Gagginiを寡聞にして知らず、今検索して画像を見ながら漠然と操作性を想像している状況ですので、これに就いてはコメントを差し控えます(ご存知の方いらっしゃいましたら補足等お願いします)。ただし、悩めるお母様がコメントする範囲で、いま問題になっている「このPetrus Gaggini」について私見を述べさせて頂くなら、Saviniの方が良いと思います。理由は悩めるお母様の仰るとおりです。
>但しG線が余り良く響かず、昨日、知り合いの楽器屋さんにそのことを伝えて見て頂いたところ、G線だけが、既に他の線よりも強いタイプであるにも拘らず、響きが悪く、バランスとして余り良くないかもしれないと言われました。
Petrus Gaggini一般の特性というより、その楽器の個体としての特性あるいはコンディションの問題を想像しています。強いタイプのGが張られていたということは、前の持主がその欠点に気付いていて色々工夫していたからだと思います。おそらく弾き難かったんでしょうね。これから高い技術を身に付けるにあたって、わざわざ操作性に難があるような楽器を購入する必要はありません。
断りの言葉を考えるのは大変でしょうが、これからの学習を大きく左右するかもしれない問題ですので、なんとか理解してもらえるよう頑張ってください。操作性が明らかにSaviniの方が優れているようでしたら、実際に弾いてもらって納得してもらう、ということも可能だと思います。教師の性格にもよりますが。
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/25 14:33 ---4.232.16
(続き)
ただ、ちょっと思ったのですが、GianPaolo Saviniが400万というのは、少し高くないですかね。私は、現在のコンテンポラリーの最高峰は税込350万程度と思っていましたが。Saviniは滅多に出てこないのでプレミアでも付いているのでしょうか。
まあ、コンテンポラリーの一番良いものと言っても、探すの大変ですよね。Geo.Batta Morassiも30年ものの造りのよいものに巡り合うのは難しそうですし、Ivano Corattiも扱っている楽器店が少なく、いざ購入しようと思っても思うように入手できないようです。
楽器はやはり縁のものですね。それこそ、自分の技量に応じて楽器の方からやって来る、という印象です。もしかしたらご子息はSaviniと何かしらの縁があったのかも知れませんね。
購入を決められる前に、念の為に、借り受けてみて、同じ格のコンテンポラリーとざっと比較されると良いかも知れません。同価格帯モダンとの比較は意味がないので、コンテンポラリーに絞って大丈夫です。
投稿者:パスツール 投稿日時:2007/09/25 17:06 ---253.180.196
直接の話題と関係なく、しかもクロアシさんの懇切丁寧な解説の腰を折りかねず恐縮なのですが、クロアシさんのおっしゃる「格」の概念がどうもピンときません。
一般的な概念として、「格」とは、長い歴史の中で次第に認識されてきたランク付けのようなもので、個々の楽器の質や性能とは異なると思うのです。 例えば、楽器屋さんが「格」を持ち出す場合は、「この2本の楽器はほぼ同じ性能だけれども、こちらの方が作者の格は上ですね。」というような話になります。
ワインの格付けも同じようなものです。 格上のシャトーのワインの平均品質はとても高いのですが、年によって出来不出来があり、また格下のシャトーから、とんでもない品質のワインが出てくることもあります。 ただこの場合でも、価格はシャトーの格によって決まることが多く、高いワインが必ずしも安いワインよりもうまいとは限らないところがみそで、楽器にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。
要は、専門を目指す人は、作者のネームバリューや価格に捕らわれず、実性能の高い楽器を選ぶべき、というご意見には全く異存はありません。 ただこの実性能を「格」と表現されると、少々誤解が生じる恐れがあると思い、コメントさせて頂きました。 悪しからずご了承ください。
投稿者:悩める母 投稿日時:2007/09/25 21:46 ---195.190.45
クロアシ様、パスツール様、ご意見をありがとうございました。
クロアシ様の説明は、専門書を紐解いているような安心感があり、とても為になります。
これだけの専門知識を得られる為に、クロアシ様は、厚みのある学びを積み重ねてこられたのですね。
お二人のお話には、哲学的なニュアンスを感じます。
それぞれに音楽を心から愛していらっしゃるのが、文面からよくわかります。
息子にも、専門家を目指すからには、こういったアドバイスや意見が出来るレベルまで、しっかり学んでもらいたいと切に思います。
弓の件も、楽器のことと合わせ、ご意見を参考に、自分たちに無理のない範囲内で、ベストな方法を考える事にしようと思います。
お金が掛かるのは、楽器だけではなく、今後音大に入ることが出来たとしても、それから卒業するまでもそれなりの出費を覚悟しなくてはと思っておりますので。 本人には、私大なら奨学金を有効に利用するようにとは言ってあります。
また、何か思いつかれたことがございましたら、是非、アドバイス頂けますよう、お願い致します。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/25 21:46 ---126.180.86
パスツールさんから「楽器の格」についてのコメントがあったので、スレッドのきっかけとなったクロアシさんと共に議論を展開した僕から一言。
パスツールさんのご発言は「格」という言葉をワインの例を引きながら説明されていますが、クロアシさんと僕が使っている「格」はそのような一般的な意味で使用しているわけではありません。是非この掲示板の「楽器の格」スレッドをお読みになっていただければと思います。
確かに「格」という一般用語はパスツールさんの仰るようなニュアンスが含まれるため、弦楽器の性能を云々する議論で使用する用語としては適切ではないかも知れません。ここでは少し長いのですが、「楽器の格」という言葉を「演奏者の操作に対する楽器の反応が、どれだけ弾き手の意図を反映したものであるかを示す指標」という意味で使用しています。
楽器自体の音色も確かにその中の一つの要素ではありますが、音量、低音から高音までの発音性能など各種の音楽表現能力の総体としてのランクがコンテンポラリー、モダン、オールド等の区分とは独立に存在します。
僕もPetrus Gagginiなる楽器は寡聞にしてよく知りませんが、知名度とモダンに類別される楽器で400万弱という価格から推定すると第一級格の楽器ではないように思います(違っていたらスミマセン)。一方、山口のI工房のWebを引用するまでもなくGianPaolo Saviniはコンテンポラリー最高の名工の一人だと思いますから現時点での楽器の能力から見ても将来の資産価値から見ても
僕ならこっちにします。ただVnの先生とうまく折り合いが付いての話ですけど。
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/25 22:38 ---13.42.231
いつもいつも 同じ意見ですが、
私なら 400万の予算であるならば オークションでモダンイタリーを買います。
ぎりぎりのところで SIMONE FERNANDO SACCONIや CESARE CANDI
や EMILIO EVASIO GUERRA
また、CARL BECKER や JEAN BAPTISTE VUILLAUME も可能性があります。
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/25 22:39 ---13.42.231
続き
でも 息子には買ってやらんです。50万円のVnでも(充分過ぎる)ちゃんと練習はできます。稼げるようになってから自分で買いなさいと言ってはいかが?
お母さん 洗脳されてはいませんか?
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/25 22:39 ---126.180.86
<続き>
弓について。良い楽器または良い弓で弾くと聴取者にどう聞こえるかについて、「良い楽器で弾くと良い音が聞こえる」と、これは当たり前ですが、「良い弓で弾くと上手に聞こえる」と。これは少し衝撃的です。
楽器選定に関しては僕はクロアシさんと同意見ですが、弓に関しては少し意見を異にしているかも知れません。
クロアシさんは多分音色の面からだと思いますが、弓はオールド・ボウをお薦めですね。ところで最近のGuillaumeをお試しになっていますか?
Guillaumeはベルギー製の新作で80〜100万と価格も相当なものですが、その操作性能の良さから最近プロの間でも話題になっています。少し選べばかなりの確率でコンサートで使える弓が手に入ります。音色と響きは一級のオールドには及ばないかも知れませんが、それでも下手なSartory以下ではないと思います。さらうときはギヨーム、本番は自分のオールド・ボウというプロもいると聞きます。
家内も娘もドミニコ・ペカット、リショーム、シモンなどを使っていますが普段弾くのはギヨームです。それで僕もつられてVaボウも一本調達してしまいました。バカみたいですね。でもこれなかなか良いですよ。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/25 23:00 ---126.180.86
> 私なら 400万の予算であるならば オークションでモダンイタリーを買います。(鈴木珍事さん)
このご発言は、お買いになった経験を元に言っておられるのでしょうか? 確かにサザビーなどのカタログやオークション情報はネットで入手可能でしょう。それでロンドンまで出かけて試奏されるのですか?
また、こうして海外オークションで購入した楽器のメンテナンスはどうされるのですか?ご自身で楽器と修理に関する知識と技能がある程度のレベルで出来る程の人でないと難しいのではないですか?
この様にオークション購入は理論上は可能でも、ユーザとしての楽器奏者にとって現実論として果たして出来ることなのでしょうか?
投稿者:パスツール 投稿日時:2007/09/26 00:26 ---253.180.196
スガラボットさんやクロアシさんが、楽器の性能の指標として「格」という言葉を使用されたことはわかりますが、この業界にも製作者の格付けというものが存在し、海外著名オークション等でも、大部分はその格付けによって価格が決定されていることを考えると、楽器の性能の話をする際に「格」という言葉を使うのは、やはり紛らわしいと思います。
ファニオラの中には、ひょっとするとプレセンダに匹敵する性能を持つ楽器もあるかもしれません。しかし作者の格はプレセンダの方が上なので、同じ性能だからといって、ファニオラはプレセンダの真作とは同じ価格にはなりません。でも楽器の真の性能を発揮できる腕があれば、ファニオラの価格でプレセンダの音を手に入れるチャンスがないとも限りません。(あくまで例え話です)
格(status)は一種の権威であり、歴史や年月とともに形成されていくものなので、新作楽器には不利ですね。新作楽器は性能で勝負でしょう。最高の新作が300万円で、大したことないモダンが400万円ということなら、それぞれの性能はともかく、現時点では大したことないモダンの方が格上です。ただ50年後には評価が逆転しているかもしれません。大昔はシュタイナーやアマティがストラドよりも高価だったように。
投稿者:YE 投稿日時:2007/09/26 00:47 ---221.174.9
G. Saviniは素晴らしい楽器です。
2台弾いた経験がありますが、どちらもよく通る、強くて柔らかい、
素晴らしい音を持っていました。
10年以上前で250万円だったので、今では300万以上するでしょうが、
それでもお買い得かもしれません。
今出てきたら、私が購入したいくらいです。
しかし、400万では、S.F. SacconiもC. CandiもE.E. Guerraも
J.B. Vuillaumeも購入できません。
現在の相場では、S.F. Sacconi、C. Candi、E.E. Guerraともに
700万以上を見ておかないと無理ですし、
V.B. Vuillaumeはここ2年前後ですさまじく急騰し、
今では2000〜3000万が相場です。
Fagnolaは1500〜2000万、Pressendaは3000〜4000万という
ところです。
投稿者:YE 投稿日時:2007/09/26 00:53 ---221.174.9
失礼しました。オークションの話でしたね。
私の話は小売価格です。
ただし、確かにモダンイタリーのSacconi、C. Candi、
E.E. Guerraは4万ドル前後ですが、まともなJ.B. Vuillaumeは
今では10万ドル前後なので、1000万は必要です。
投稿者:rio 投稿日時:2007/09/26 07:17 ---210.189.167
>弾いたり聴いたりして本人や周りがより良いと
>判断した物に決めるのが(先生には申し訳なく、
>お断りの言葉も熟慮しなくてはならないのですが、
>やはり高い買い物ですので)一番だと思うのですが、
>どう思われますか?
(何度か同じことを書いています。)
私のVnの先生は二人おりますが、お二人とも、高額(100万円以上)な楽器を選ぶときは、必ずホールを3〜4時間借りて、楽器の調整をしてくれる職人さんにも一緒に来てもらい、客席のいろいろな所に立ち音を確認しながら、また楽器も調整しながら選ぶことを推奨しています。
レッスン室や自宅で弾いても、感覚的に「良いだろう」とわかってもその楽器が使える楽器なのかそうでないのかは、実践の場に持ち込まないとわからないというのが先生のお考えです。
ホールの使用料や職人さんの謝礼で数万円〜十数万円の費用がかかりますが、納得できる結果になります。
すでに、ホールで確認もされたとか、あるいはプロが実践で使ってきた楽器ならば悩むに値すると思うのですが…
ただしこの方法は、趣味でバイオリンを弾く人が選ぶ手段ではなく、職業として楽器を弾く人、あるいは演奏家を目指す方にのみ勧められる方法だとおもいます。趣味で弾く人にここまでストイックな選択方法は不要と思います。
オークションについてですが
私が、趣味でよく参加するサザビーズというオークションハウスの場合、プレビューでまともに弾ける状態なのは数本、それもほとんど超高額な目玉品だけです。あとは形だけ弦が張っているという程度で、出品者から受け取ったままというのがほとんどなので、実際に弾き比べるのは不可能に近いと思います。あまりお勧めできません。
もしプレビューの楽器が調整がなされ、弦もきちんとしているというオークションがあるならば私もぜひ教えていただきたいと思います。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/26 10:12 ---4.232.16
このスレッドの主旨に沿うかたちで、いくつかレスをさせて頂きます。
>スガラボットさん
>クロアシさんは多分音色の面からだと思いますが、弓はオールド・ボウをお薦めですね。ところで最近のGuillaumeをお試しになっていますか?
新作弓を奨めなかったのは、今回対象になっていたのがコンテンポラリーだったからです。Guillaumeは、最近金黒檀2本、銀黒檀1本を試奏しました。ボウイングに対するレスポンスが驚異的に良く、性能の高さは、今まで弾いたオールド・ボウも含めて他の追随を全く許さないものでした。ただし、私の楽器ではどうしても平板に鳴ってしまい、彫りの深い演奏が難しいと思いました。コンテンポラリー楽器との相性だろうと私は思っています。この音色の問題は他の新作弓でも同じでしたので、今回、コンテンポラリーの性能を可能な限り引出すという観点から、お奨めしませんでした。
他方で、ソリストの間でも、オールド楽器に新作弓を使う例があることも承知しています。ある程度経年した楽器は、もともと音が枯れているので、こうした弓でも相性が良いのでしょう。スガラボットさんはSgarabotto、奥様はPressendaをお使いとのことですから、やはり、コンテンポラリーよりは良い結果を出していると思います。
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/26 10:13 ---4.232.16
(続き)
>鈴木珍事さん
オークションのご意見も50万円のVnでも充分練習できるというご意見も、今回のスレッドの主旨においては全く同意しません。理由は、このスレッドや「楽器の格」スレッドなどで既に触れられていることですので割愛します。恐らく技術の修得、音楽の表現といった根本的なところから考え方が食い違っているのだと思います。
ただ、50万Vnのご指摘でふと思い出したことを、スレッドを立てた方のみならずこれから楽器購入を考えている方々の参考のために書き記しておこうと思います。これは本当に蛇足の話です。
私がこれまで試奏したなかで、鳴りは大人しいものの精度が高くて、倍音もそれなりにあって、操作性も優れていて、しかしながら値が60‐70万という楽器がありました。高度な技術を修得するのに充分可能なレヴェルでした。残念ながら、当時いちいちラベルを見る習慣が無かったので、いつどこで作られたものか分からないのですが、音色から10‐20年経ったコンテンポラリーでドイツ製かフランス製、一応マスターメードだっただろうと考えています。木材の質や採用されるモデルによって、こうした精度と音量のアンバランスが起こるのでしょう。
というわけで、音量や国籍にこだわらなければ、店頭小売価格が100万切るような楽器でも精度の高い楽器に巡り合う可能性があると思います。ただし、これはもう、自分の耳を頼りにノンブランドの楽器を選ぶ作業ですから、ある意味オークションに手を出すより困難かも知れません。
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/26 10:16 ---4.232.16
(続き)
>パスツールさん
私が用いる「格」という定義は、スガラボットさんが説明されている通りです。
>「楽器の格」という言葉を「演奏者の操作に対する楽器の反応が、どれだけ弾き手の意図を反映したものであるかを示す指標」
ただ、この掲示板で突然用いられることになったこの特異なterminology(用語法)は、元を辿ると私がかつてドンファンさんとやり取りしたなかでの書き込みに起因するようです。ですから、これに就いての説明責任は、私にもあると思っています。
ワインの喩えやFagnolaの喩えを拝見する限り、パスツールさんにはまだ上記の定義が上手く伝わっていないように思います。あるメーカーがたまたまディーラー的な格付けを越えるような性能の楽器を作ることがある、ということは勿論あるでしょうが、ここでいう「性能を指標とした格」とは、そういう個体差に着目しての考え方ではありません。
例えば、極端な話ですが、私の使っているIvano Corattiは、経年による音色の変化を考慮しなければ、弾き手から見た操作性能はAntonio Stradivariとほとんど変りありません。私がStradを演奏したときと同じ水準の演奏をCorattiで出来るかといえば、凡そ出来ると思います。それでは、私の楽器が例外的に出来が良いのかといえば、そうではないと思います。Corattiは、徒弟時代はともかく、今までも概ねそのような水準の楽器を作り続けていて、これからも作り続けるでしょう。そして、こうした性能を下位にランクされているメーカーが提供しえるかといえば、やはり無理なのです。
(続く)
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/26 10:17 ---4.232.16
(続き)
ところが、ヴァイオリンはある程度の水準に達したものは、時間が経つにつれ音色が良くなって行くので、自動的に価格が上がってしまう。楽器の道具としての水準、経年による音質の向上によってパスツールさんが言われるような「オークションで認知されているような格」が決まります。
でも、高度な技術を追求したい奏者の側から見れば、経年変化による音色の向上より、操作性能の方が遥かに重要なのです。それは嫌でも目に付き、一目瞭然で、いかにしても揺るがしがたい、それこそ死活問題になりかねない重大な要素なのです。いつの時代に作られようが、それがモダンだろうがコンテンポラリーだろうが、操作性能の良いものは良いし、悪いものは悪い。それは幾ら時間が経っても改善できないものなのです。かくして、上記のような一見暴論のように思える話が出てくる。
こうした流通価格とは相容れない操作性能の歴然たる差をどう表現するか。私は、別のスレッドのどこかで無意識に使ってしまいましたが、やっぱり「格」という言葉以外に上手い表現を思い付きません。
勿論、私は、これがパスツールさんが仰る「一種の権威であり、歴史や年月とともに形成されていくもの」としての格(status)という概念と衝突していることも承知しています。何か別にうまい用語が充てられないかとも考えています。
私やスガラボットさんが考えるような実用本意の格付けは、今まであまり話題にされて来ていないと思います。もし必要なら、新たにスレッドを立てるか、先に立てられた「楽器の格」スレッドを回収して、特に用語の観点から議論を煮詰めて行ってもいいかも知れません。
投稿者:phtalocyanine 投稿日時:2007/09/26 10:18 ---244.210.205
悩める母様
本当に良い楽器を見つけることは、素人には非常に難しいです。
150cmの人が、185cmの人と190cmの人とがどちらかが高いかぱっと見てもわかりませんが、187cmの人にとっては、どちらかが高いかを区別するのは容易なことです。
技量がある程度上がってゆくうちに、楽器の良し悪しがはっきりと判ってきます。
自分の技量以上の楽器を見せられても、すべて、良い楽器・・とでしか区別できません。
どのぐらい良い楽器か・・ということは多分判断することが難しいでしょう。
そこで、製作者のブランドで判断しようとします。
しかし、私の経験上、バリーボンズタイプ、イチロータイプ、A.ロドリゲスタイプなど、様々なタイプの作者がいます。
ビソロッティーなどは、まさにイチロータイプでしょう。
どの楽器も非常に良く似ています。
GBMなどは、バリーボンズタイプなのではと個人的にはは思っています。作品に差がありすぎます。
数台手にとったことがありますが、SAVINIは、A.ロドリゲスタイプだと思います。
作品のはずれも少ないし、中にはすごい作品もある・・・。
しかし、このクラスの製作者だとしても、ホームランは、10本に2〜3本だと考えてください。
SAVINIの打率は決して他の作者に比べて低くありませんが、個体差は必ずあります。
現時点では、音大受験に不利にならない程度の楽器を選び、将来、彼自身の力で、本物を見つけてもらったらいかがでしょうか?
投稿者:悩める母 投稿日時:2007/09/27 12:39 ---195.190.45
みなさま、本当にありがとうございます。
見ず知らずの私の質問に、親身になってお答えいただき、心から感謝しております。
今回の楽器選びにおいて、過去のお付き合い(楽器購入とは全然違うことで知り合いでした)から、私がとても信頼を置く弦楽器屋さんに相談できたのは、とても恵まれていると思っています。
お店で幾つもの楽器を何時間もかけて、しかも、何日も試奏させてくださった時も、決して値段や作者名などの予備知識を、弾くことより先に知らせることなく次々と出してくださり、私どもは、変な先入観なしに試してみることが出来ました。
そして、今もっている楽器と、予算といろいろなことを総合して、このSaviniさんの楽器は、自分たちで検討する価値があると判断した次第です。
でも、製作者ご本人に関して、余りにも知識が無いので、博識な皆様に情報を頂けたら、と思って投稿したのがそもそものきっかけです。
YE様が仰っていらっしゃるように、この楽器も強くてやわらかくとても通りのいい音がします。
製作者ご本人を知る楽器屋さんのお話では、どなたかも仰っていたように、なかなか気難しく、頑固一徹で大量には作らない、昔ながらの職人気質の方のようです。 そういう方なのに、硬い音ではなくて、こういう音色の楽器を作られるギャップを面白く、楽しいと思っていました。
楽器との出会いは、恋人や伴侶との出会いにも似たものがあるように思います。
他にも、お値打ちでとてもいい物は、勿論あると思いますが、今、この楽器に出会うことになっためぐり合わせを思いながら、どうするか検討しようと思います。
息子が参加するコンクールの日程を避け、10月中旬にSaviniさんの楽器を1週間ほど借り受けて、自宅やホールなどで試してみることが出来たら、と考えております。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/27 14:00 ---4.232.2
>悩める母様
大変な出費だと思いますが、私はよい縁に巡り合えたのではないか、と思っています。
私は、伸び盛りの奏者には、その成長を見越してできるだけ性能の高い楽器を手にするべきだと思います。楽器は、それを演奏するだけで、有形無形の様々な技術、表現の方法を教えてくれます。当然のことながら、格の高い楽器は低い楽器よりも教えてくれることがたくさんあります。良い楽器を持ちそれによって育てられる、それは、才能があり、志があり、高い技術を備えた若者の特権です。ご子息が良い楽器を手にし、成長し、素晴らしい音楽を演奏されることを期待しています。コンクール、頑張ってくださいね。
ヴァイオリンの価値に就いては、皆さんそれぞれ一家言を持っていますので、アドバイスも紛糾しがちになってしまいます。こういうとき、一番対応に困るのはやはりスレッドの立て主さんですね。私にも多少責任があると思っています。スレッドが荒れ気味になったことをお詫びします。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/27 14:50 ---255.65.238
悩める母 さま、
スレッド最初のご質問は「GianPaolo Saviniの2005年作の楽器が気に入ったが音大受験される息子に購入する価値があるかどうか。」だった訳ですが、僕やクロアシさん、そしてYEさんは積極的な賛成意見だと思います。楽器に対する価値観は人によって様々なので色々な意見が出てきます。これで議論が紛糾気味になったことはある程度仕方がないこととは言え、申し訳ありませんでした。
ウチの教室にも同じような立場の生徒さんが何人もおられます。これから育っていくこうした若い人たちに必要な要件を備えた楽器選びという観点から僕はコメントしたつもりです。クロアシさんも同じだと思います。
でも結局のところ、楽器選びは本人が気に入ったものであることがやはり一番最重要です。ここでお母さんも息子さんも音・弾きやすさともに気に入られたGianPaolo Saviniとの出会いは一つの巡り合わせだと思います。モダンやオールドでなくてもコンクールや受験は大丈夫です。この出会いを大切にして、ご本人が楽しく練習に励めるようになれば最高ですね。この選択で後悔されることはないと僕は思います。
Q:バイオリンの弓の製作者について教えてください
投稿者:Vn 投稿日時:2007/09/25 00:34 ---250.36.225
こんにちは。
趣味でバイオリンを習っている者です。 初めて質問を投稿します。 詳しい方々が沢山参加されていらっしゃるので、ここに質問したら何かわかるかと思って期待してます。。。
最近古いVn弓を手に入れました。 修理して使用しようとも思っているのですが、その弓(とその製作者)について興味が湧いています。 ご存じの方がいらっしゃいましたらご教示ください。
弓の刻印には GERIL WALT RENZ と書いてありました。
刻印が薄くなっていますので読み間違えている可能性もありますが。。。
Q:イタリアの方でしょうか?
投稿者:さくら 投稿日時:2007/09/23 09:15 ---54.216.181
こんにちは!
実は使っているバイオリンがどういうものなのかわからないままもう4年がたっています。
バイオリンの内側には“N.BERTOLONY”とプリントされてあるカミテープのようなものと、反対側の穴から見える“72”という番号、あとは110-1751というシールがバイオリンの横隅に小さく張ってあるだけです。このバイオリンはold violinとして買ったもので、私の手の元に来るまで色々な方々に使われていたようです。いったいどのような方が作られたのでしょうか?
あと、英国のオススメな弦楽雑誌があったら教えてください。
お願いします。
投稿者:さくら 投稿日時:2007/09/23 09:44 ---54.216.181
今思ったのですが、old violinは普通500万以上くらいのバイオリンのことをいうのですか? 買ったときにold violinだって言われたのですが、200万もしませんでした・・・
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/23 10:49 ---6.34.204
もう一度、名前にあたる”N.BERTOLONY”の綴りに写し間違いがないか確かめてください。
Henleyの製作者事典には、似た名前のフランスのメーカーとして
BERTHOLINI Nicolas :製作者
BERTOLINI Nicolas :量産ヴァイオリンのブランド名
が載っていますが、BERTOLONYは載っていません。
私見ですが、”オールド” は名の知れた製作者が作った、出来てから少なくとも150年(多くは200年以上)は経っている楽器をさす事が多いと思います(値段で判断するものはありません)。手工含む量産楽器には余り使いませんが、お店によっては営業トークの中で使う場合はあるようです。
ここでカタカナで”オールド” と書いたのは日本でその言葉を使う場合の話を想定しているからであり、一方英語でのOLDは、その意味で使う場合と、単に古いということを示す場合の2通りのケースを見かけるからです。
投稿者:ドンファン 投稿日時:2007/09/23 14:11 ---172.172.45
N.BERTOLONYはN.BERTOLINIのことでしょう。
BERTOLINIはイタリア北部の町、レッジョ・エミリア(エミリアロマーニャ地方)で1800年後半〜1900年前半にかけて主に製作した人です。評価はかなり高いです。
使っておられる楽器に“72”という番号、あとは110-1751というシールが貼ってあるということですが、書体やシールはどういった感じでしょうか?(型番、製造番号の類?)
だとすれば、明らかにBERTOLINI名を冠した「製品」の類ではないでしょうか。(このあたりは私も確信が持てません。すみません)
確かに、一昔前(或いは二昔前)は500万以上というのがold violinの価格ラインでした。現在ではこの価格は真正モダン楽器のぎりぎりのラインだと思います。
しかし、それから外れるもの(準真作=弟子や工房製のもの、コンポジットと呼ばれる一部分がオリジナルとは違うもの、同じ地方や本人に何らか関係のある職人が作りラベルだけ本人のものを貼ったもの、等々)に200万そこそこの価格を付けて売られているものはとても多く、「何とかしてオールド(モダン)楽器が欲しい」と望む人たちに「条件付」で売られているのです。
一つの目安として、年代的に1820年頃以前に作られたものをオールド・ヴァイオリンと呼び、1820年〜1945年までをモダン・ヴァイオリンと呼びます。モダンでも著名な楽器は軒並み1000万円以上はします。真正オールドで最低限の(音量・音質)を求めるなら1500万円以下ではまず無いと思った方がいいでしょう。
今でこそオールドとモダンとの時代の線引きが製作者の系統等から割りときちんと定義付けられていますが、よく古いタイプの楽器屋さんはそのあたりお構い無しに100年前位からの楽器を全てオールドと総称している人が結構多いようです。
>英国のオススメな弦楽雑誌・・・例えば、LONDONのオークションSotheby`sの楽器の出品目録は如何でしょう?150ページに渡り名器、名弓のカラー写真が盛り沢山です。ちょっとした図鑑・事典並に豪華・本格的なもので見ているだけで興味津々で楽しい!ネット(オークション)などで入手出来ます。
投稿者:さくら 投稿日時:2007/09/23 21:00 ---54.216.181
お返事ありがとうございます。
“72”という番号と“I10-1751”(110-1751 ではなくI10-1751 でした)は、小さい紙シールに黒い文字でプリントされたものです。多分あとから張られたものだと思うのですが。
もしこのバイオリンが本物だったら、これはできてから100年以上たっているのですか。たくさん使われていたのか、確かにネックのところに接木されていますし、傷も少ないわけではありません。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/24 09:07 ---6.35.25
A. BERTOLINI (Angelo BERTOLINI)というイタリア:レッジョ・エミリアの製作者はいくつかの文献に載っていますが、残念ながらNのつくそれらしいイタリアの製作者は見つかりません。
手持ちの資料では、Nのつく似た名前のものはフランスの製作者/ブランド名以外では、発見できませんでした。N. BERTOLINIは1900年頃のミルクールの量産品のブランド名でした。
”N”かどうかも含め、もう一度、“N.BERTOLONY”と本当に書かれているか、再確認ねがいます。
以下、私見です。
バロック期のネック接合方法から、現在のネック接合方法に移行したのは1800年中頃であり、それ以降の楽器は現在と同じ接合方法、角度でネックが付けられるようになっていますので、本当にモダン化するために継ぎネックが必要な楽器はそれ以前の楽器です。
それ以後に作られた楽器で、ペグボックスの裏側に継ぎ跡が見えるものは、
1)大多数は、古い楽器に見せるために、線を書いたり、線を彫ったり、ごく稀に手間をかけて新品の時点で継ぎネックを行ったりした、もの (継ぎネックに見える楽器のうち、実際は線だけが加えられているものが8〜9割以上だと思います。)
2)実際に継ぎネックがされているものの多くは、ネックに何かの故障があったり、もともとのネック長や取り付け角度が不正規だったりしたため、修理のため行ったもの
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/24 17:48 ---13.42.231
私の資料にわずかありました。
Nicolas Bertolini w1890-1926 France Mirecourt
オークション価格 $550
継ぎネックは オーケストラなどで非常にハードに使われた場合、
や 事故で損傷した場合 などにありえます。
Nicolas Bertholini w1870-1880 France Mirecourt
もありました。別人かどうかわかりません。
オークション価格 $550
N.BERTOLONYはありません。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/24 18:26 ---4.232.19
製作者のラベルの件ですが、スペルチェックの他に字体がどのようになっているか、他にどのような事項がどのような配置で書かれているかも記して下さると、色々なことが推測できるようになると思います。
字体によってはAとN、YとIは読み間違える可能性があると思います。
Q:Vlの楽譜を探しています
投稿者:秋風 投稿日時:2007/09/20 23:13 ---253.187.146
こんばんは。
ストラッドさんの第12回の演奏会で、演奏されていたレヴェリエ / ポルムベスクの楽譜を探しているのですが、なかなか見つかりません。
入手方法をご存知の方がいらっしゃいましたら、教えていただけますか?
投稿者:ストラッド店員 投稿日時:2007/09/22 18:21 ---114.197.168
こんにちは、
レヴェリエ / ポルムベスクの楽譜ですが、まだ日本で出版しておりません。現時点では日本で手に入れることは非常に難しいと思います。ルーマニアから持ち込まれた楽譜ですが、これも「著作権」などの問題でコピーなどは出来ません。お役にたてず申し訳ございません。それでは!
投稿者:秋風 投稿日時:2007/09/23 00:08 ---253.187.146
ストラッド店員さま
そうですか、国内では入手できないのですね。
残念です・・・
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/23 11:07 ---6.34.204
今の世の中、インターネットですぐに検索ができ、海外からもすぐに購入ができ、また楽譜輸入代行も行っている業者もありますので、ポイントは、
? 出版されている譜面なのか
? 出版されている場合は、
どの出版社から
なんというタイトルで
どのような書籍番号で出ているのか
? カタカナでない、オリジナルの曲名、作曲者名の綴りはなにか
であり、この情報はストラッドさんからグラウディウ氏に聞いていただき提供していただくのが一番早いと思います。(ルーマニアの楽譜の可能性が高い)
質問者の方が本当に欲しい気持ちを持っているのであれば情報さえあれば動くでしょうから、そこまでの情報が揃えばほぼ手に入れる事はできます。
ポルムベスク(綴りは検索すればすぐ出ます)は、望郷のバラードが有名のようですが、それ以外の曲の情報についてはカタカナでは当然検索できませんし、簡単に出てきませんので、差し障りがなければ上記の情報提供をストラッドさんからしてあげてはいかがでしょうか。クラウディウ氏も、自分の祖国の作曲家の作品を弾いてみたいという問い合わせに対しては、喜んで回答してくれるような気がします。
Q:ビオラの弦についてアドバイスお願いします
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/14 00:06 ---178.228.117
深みのある音のビオラ弦を探しています。
ラーセンの高音2本が深みの点で、オススメと聞きました。
低音2本にオススメ弦がありましたら教えてください。
オブリガードは、過去ログを見ると、評判がよいようですが
音の傾向についての言及が少ないので、もう一言お願い
できればと思います。
よろしくお願い致します。
投稿者:yrtm 投稿日時:2007/09/14 09:28 ---186.170.85
色々な弦の変遷の結果、昨年の夏に以下の組合せを知り、それ以来そっくり真似をして現在のお気に入りとなっております。
A/ラーセン
D/オイドクサ
G/オリーブ
C/スピロコア
ただしD線の劣化が速いことが若干不満ですが。。。
4種混合の前はA/ラーセン、DGC/アリアンス
さらにその前がA/ラーセン、DGC/オブリガート
まあ楽器との相性もあるので、ご自分で試すのが一番です。
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/14 13:00 ---178.228.117
yrtmさん、コメントをありがとうございます。
確かに、楽器のとの相性もあると思いますが、弦の持つ
傾向というのは、楽器によって大きく違ってはこない
んじゃないかと勝手に思っています。
それにしても、行き着いた結果は、スゴイ組み合わせですね!
研究に研究を重ね、極めた結果というのが伝わってきます。
しかし、その内の2種がガット弦ということで、お財布
が痛い・・・。
A線はラーセンで間違いは、ないようですね。
オブリガードやアリアンスをおやめになったからには、
何かしら不満な点があったと思いますが、どんな点でしょう?
それぞれの音の傾向はどんな感じでしたか?さらにコメントを
いただけると参考になります。
よろしくお願いします。
投稿者:yrtm 投稿日時:2007/09/14 14:32 ---186.170.85
>オブリガードやアリアンスをおやめになったからには、
何かしら不満な点があったと思いますが、どんな点でしょう?
オブリガート、アリアンス共に、細かく速い音符での反応に「もったり感」を感じた結果、「更に他の弦を」と試した次第です。
オブリガート及びアリアンスはオケでのtutti弾きでは、さほど気になりませんでしたが、クアルテットを主体に楽しむ為には、この「もったり感」を克服したかったのです。
投稿者:ストラッド店員 投稿日時:2007/09/14 14:36 ---133.208.8
こんにちは、
当店ではビオラは数が少ないのでヴァイオリンの弦に置き換えて書きます。少しでもお役にたてば・・
在庫にあがってくる楽器には最初にドミナント(E線はブラカット)を張ります。ドミナントでも十分だなと判断した場合はそのままドミナントを使用します。
ドミナントを張って、少しキンキンした感じ雑音が感じられる場合はオブリガードを張ります。結果的に落ち着いた感じになることが多いです。音量はそれほど変わりません。
ドミナントを張って逆に大人しく物足りない場合はエヴァピラッティを張ります。物足りなさが軽減する確立が高いです。
必ずしもうまくいくとは限りませんがこのパターンは多いですね。
それでは!
投稿者:ぶらっちぇ 投稿日時:2007/09/14 15:52 ---45.130.9
弦の持つ傾向は一般的にいえても、楽器との相性で、
その傾向が生きるかどうかわからない、というのが実情ではないでしょうか。
よがさんのページも参考にされてみてはどうでしょう↓
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoga/viola/2.html#mstr
「深みのある音」といってもイメージするところが人によって違うんでしょうが、
私の限られた経験の中では、アリアンスの音色はとても好きです。
「深み」といっていいのかどうかわかりませんが、豊かな音だと思いました。
ただyrtmさんもお書きのように、早弾きへの反応性が落ちます。
ザイエックスも音色はわりと気に入ったのですが(お財布にも優しいし)、
さらに「もったり」で辟易としました。
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/14 18:31 ---178.228.117
yrtmさん、ストラッド店員さん、ぷらっちぇさん、
更なるコメントをありがとうございました。
ドミナントを張ってみて反応を見るという点と、
アリアンスが豊かな音というのは、興味深いですね。
「もったり感」というのは、経験してみなければ
分からないものなんでしょうね。
今後は、ソロ楽器としてビオラを楽しみたいと考えて
います。多少、アンサンブルもやりますが、おまけ
程度に考えています。
ビオラの豊かな音を楽しむために、ヴァイオリンから
持ち替えて、ソロでやっていきたいと思いますので、
早弾きは、あまりないかもしれません。
となると、アリアンスかオブリガード?
yrtmさん、再三、お手数ですが、この両者に音色の違いを
感じましたか?
投稿者:いし 投稿日時:2007/09/14 21:43 ---106.63.48
あいうえお様
議論を振り出しに戻してしまうようですが、
1.今お使いの弦は何でしょうか?
2.お使いのヴィオラのサイズはどのくらいでしょうか?
を示していただくとより答えやすいです。
ちなみに私は胴長420mmの楽器を使用しており、4弦ともアリアンスを張っています(A線はヤーガーにすることもあります)。
これまでに試した弦はヘリコア・ザイエックス・オブリガートで、オブリガートも好きですが、寿命はアリアンスがやや長いので、現在はこれに落ち着いています。
私の印象でも、音は豊かだが、ときに反応が悪く感じることもあります。
気をつけて欲しいのは、オブリガートとアリアンスは太さがかなり違います。私はオブリガートからアリアンスに乗り換えるとき、駒やナットの溝を工房で切りなおしてもらいました。
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/14 22:21 ---178.228.117
いしさん、こんにちは。
お尋ねの件、ごもっともです。
現在の弦は、ヘリコアです。
これは、ビオラ購入時に張ってあったもので、今回が
初の弦交換です。ですので、現状が、どこまでが楽器自体の
特性で、どこまでが弦の特性か分かりません。
胴長は、400mmです。
いしさんは、大きいビオラをお使いのようで羨ましいです。
私のビオラは、新作手工量産品です。今も、反応の悪さを
感じることがありますが、新作だからなのか?と思って
いました。弦が原因かもしれないですね。
アリアンスの寿命の長さは魅力ですね。
ちなみに、アリアンスの方が太いのですね?
指への負担を考えると細い方がいいかな・・・。
ガット弦は、予算的にバツ。
エヴァは、寿命が短いとのことなので、バツです。
私の偏見かもしれませんが、できれば、スチールより
ナイロンを試してみたいです。
いろいろ、わがままを言って申し訳ないです。
でも、太さなど、新しい情報をいただけてよかったです。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/14 23:45 ---4.232.40
>ガット弦は、予算的にバツ。
>エヴァは、寿命が短いとのことなので、バツです。
ヴァイオリン弦での話ですが。
ObligatoとEvahは同じSynthetic fiberで作られています。私はObliしか使ったことがありませんが、3週間で音質の劣化が始まりました。素材が同じなのでEvahも同程度と想像しています。
Alliance Vivaceは使用したことがないのでどのくらいの寿命か分かりませんが、同じくSynthetic fiberで作られています。
Infeld Redは素材がNylonですが、やはり3週間くらい。Blueは使用したことがありませんが、同じ素材で作られていますので、同程度の寿命と想像しています。
DominantはPerlonという素材で、私の感覚では1ヶ月半で音質の劣化が始まりました。
ガット弦は、一見高価に思えますが、寿命がだいたい3ヶ月といわれていますので、コストパフォーマンスからすると、上記の合成素材の弦よりはマシだと思います。ナイロンから比べて硬く響いて鳴りが悪くなるといわれていますが、音質は優れています。選択肢から外すのは少々もったいない気がします。
以下のサイトなども参考になります。
http://www.violinsupply.co.jp/Link/items/Strings/VnStrings.html
http://www.violinwakaru.com/artcl_70/75_00003.htm
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/15 13:37 ---178.228.117
クロアシさん、具体的な情報をありがとうございます。
そう言われると、ガット弦のコストパフォーマンスは、高い
ですね。オイドクサなら、オブリガードと千円しか違いま
せんし。
こんなことを言ってしまうと、皆さんがアドバイスする
気力が失せてしまうかもしれませんが・・・、私は、鈍感な
アマチュアなので、弦の劣化に関してはほとんど気がつかない
のです。
弦を違う種類に張り替えた時は、音の傾向の違いは分かります。
ビジョンチタニウムにした時は、最初に弾いた瞬間、「この弦、
嫌い」と、分かりました。
ですので、一般に言われる弦の寿命を大幅に超えて使うと
思うのです。半年に一回交換とか。ガット弦の場合、巻き線が
ほつれてくるので、目に見えて劣化が分かるわけですよね?
そうなると、私からすれば、弦を変えざるを得なくなり、
コストパフォーマンスの低い弦ということになります。
エヴァは、他の人が、口をそろえて「寿命が短い」というのも
ありますが、音にきらびやかさを求めてないという理由も
あって、選択肢からはずします。
こんなアマチュアですが、何か無難なところをご教授いただけ
ればと思います。
ドミナントでも張っとけばいいのでしょうかねぇ。ヘリコア
よりは、良いのでしょうか。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/15 14:22 ---4.232.40
>一般に言われる弦の寿命を大幅に超えて使うと思うのです。半年に一回交換とか。
>ガット弦の場合、巻き線がほつれてくるので、目に見えて劣化が分かるわけですよね?
巻き線のほつれ……そういえば、ガットはよくほつれた気がしますね。あれは確かに弾いていて気分悪いです。それと、ガットは切れますね。顔に当たって痛いので、これも結構奏者のストレスになります。
とりあえず、あいうえおさんのニーズを踏まえて、コストパフォーマンス優先に考えるなら、旧来から販売されている合成素材の弦、例えば、
Dominant/mittel(Perlon)
Synoxa(Nylon)
ですかねえ。Synoxaは、最近あまり使われませんが、音色豊かで音量もあってなかなか良いですよ。Olivと混ぜて張っても遜色ないです。音質の低下も緩やかで、また切れませんしね。私も昔はこの手の弦を半年近く張って使っていました。
音色があいうえおさんの好みかどうかは、お使いの楽器との相性もあるので、実際に張ってみないと分からないですね。
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/17 16:13 ---178.228.117
クロアシさん、コメントありがとうございました。
ちょっと調べただけですが、シノクサのビオラ版が見つかり
ません・・・。残念!
高音2本ラーセン・低音2本ドミナント
高音2本ラーセン・低音2本アリアンス
このどちらかでためしてみようと思いました。
皆さん、長々とお付き合いいただき、ありがとう
ございました!
投稿者:OPTICA 投稿日時:2007/09/17 21:09 ---111.154.225
結論が出つつあるようですが・・・
シノクサはビオラ弦があったように思いますが、今はないのでしょうか?
昔張ったことがありますが、ヴィオラではドミナントに比べてあまりいい印象がありませんでした。
ストラッド店員さんもおっしゃってますが、私の経験からもまずは4本ともドミナントを張ってみて様子を見るというのをお勧めします。張りたてのときはやっぱりシャリシャリした感じがしますが、しばらくすると落ち着いてきます(ここがドミナントのピーク)。クロアシさんも仰っておりますが、その後すぐに寿命(というか、響いた感じがしなくなってくる)なのが残念です。D線がもっさりする感じならシルバー巻での細身のD線もあります。
多分ドミナントのA線は気に喰わないと思いますので、それからA線を変えてみる→様子をみて他の弦も変えてみる。という風にして行った方が楽器との相性がつかみやすいのではないかと思います。
A線ヤーガー+その他ドミナントorアリアンス の組み合わせがお気に入りでしたが、今はなぜか4本ともヘリコア張っています(安い)。
ヘリコアの音色もなかなか悪くないと思います。ただ、A線がヤーガー/ラーセンに比べて太くて気持ち悪いです。
張ったことはないですが、A線ではカプランソリューションズもなかなかいいという噂ですが、こればっかりは張ってみないと何とも言えません。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/17 23:12 ---6.34.234
いろいろ試す事はよいことですので、いろいろやってみればよいと思います。
深みという点では、何となくコストパフォーマンスの点でヘリコアに最終的には戻ってきそうな気がします。(ビオラ弦は結構高価で、安くてそこそこの音となると、ヘリコアくらいしか選択肢がないような気がしています。)
柔らかい音や軽快な音を求めるならドミナントやピラストロ系の合成弦にいくと思いますが、ヘリコアが安価でありながら結構芯のあるしっかりした低音が出るだけに、例えば2倍のコストをかけての深み方向トライが成功するか、少し疑問なところがあるとともに、あいうえおさんの試行の結果に興味があります。
投稿者:ぶらっちぇ 投稿日時:2007/09/18 16:11 ---45.130.9
ヴィオラのSynoxa、扱っているところはあります。
「ヴィオラ Synoxa」で検索すると出てくるのでは。
Helicoreはどこか金属的な音で私は気に入りませんでしたが、
コストと反応性のよさを勘案すれば、OPTICAさん・弦喜さんの仰る事もごもっとも。
現在Warchalを試用中ですが、高いだけ得るものがあるかというと、ちょっと疑問。
ただ、あいうえおさんは現状でHelicoreにご不満のようですから、
傾向の違うものを試されたらいいと思います。
いずれ試行錯誤の結果をお教え下さい。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/18 23:19 ---126.180.86
Warchalの話が出てきたので一言。僕は楽器の格スレッドでも書いたように42cmのP.Sgarabottoを弾いていますが、この楽器は板の削りが厚めのようで張力が強く、結構弾き辛くて苦労しています。はじめはドミナント(AllまたはA線のみラーセン)を使っていたのですが、すぐに音の輝きがくすんできて1〜2ヶ月毎に交換していました。
さすがにこれには耐えられなくて、そのあと今井信子さんが使っていると噂のあるアリアンスをセットで使用しておりました。これでG線以上は満足していたのですがC線の発音が鈍くモコモコした感じでした。それでm楽器屋さんから楽器の格が上がったような音が出るという触れ込みのWarchalをセットで使用しました。ただこの弦ヴィオラの場合は"karneol"という種類しかなくて、Weichじゃないかと思うほど張りが弱めなのです。音は確かに一種独特の深みがあっていわゆるシルバートーンに近づいたような感じです。この意味では「あいうえお」さんのご希望に沿うのかも知れません。
だだ僕の楽器とは相性があまり良くなかったと見え、G線が4thポジション以上で音がひっくり返ってしまいます。この現象、最初のセットではそれほど目立たなかったのですが、次に交換した弦は二本続けて使い物にならないレベルで、等々諦めてWarchalは別の楽器に張り替えてしまいました。同じ弦を張ってもこちらの楽器でG線がひっくり返ると言うことはないのでやはり相性なのでしょう。
それで今はまた元のアリアンスに戻っています。C線のもたつきも駒位置の微調整で大分改善されました。音色の輝かしさもドミナントほどガタッと落ちることなく、半年〜一年ほどあまり気にすることなく使っています。ただアリアンスのA線は僕の楽器の張力に耐えられないらしく、張る弦の3本に1本は弦の伸びが収まらなくて毎日調弦が下がり続け、2週間〜1ヶ月で切れてしまいます。それでこのようなC線やA線に関してもう少し何とかならないものかと、今エバピラを1セット用意したところなので次に交換したときに感想を書き込むことにします。張りの強い楽器は弦の選択には苦労しますね。
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/19 21:48 ---178.228.117
ちょっと目を離した隙に、たくさんのレスが!
OPTICAさん、弦喜さん、ぷらっちぇさん、スガラボットさん、どうもありがとうございます。
どうも私の性格が移り気なようで、「こうしよう!」と、方針を決めたはずなのに、新しい
アドバイスを見るたびに、考えが揺らいでしまいます。
さっきまでは、やっぱり最初は基本のドミナントに慣れて、それから、いろいろ気分転換を
していくのがいいのかな?とも思い始めていたのですが、ワーチャルのお話を聞くと
それもまた魅力的!
別に、ヘリコアに不満がある訳ではないんです。他の人のビオラと弾き比べると、なんと
なく反応が遅い気がして、それが弦のせいなら、より相性のいい弦に変えてみたいという
感じです。でも、ぷらっちぇさんのご意見によると、ヘリコアは、反応が良い弦なのですね。
弦喜さんのおっしゃる通り、最終的には、ヘリコアに戻ってくるかもしれません。それは
それで、お財布にも優しいので、いいのですけどね。
ワーチャルセットと、アリアンス+ラーセンの2つの組み合わせは、試してみようと
思います。ワーチャルの価格を調べに行ってきます!
投稿者:フルビオ 投稿日時:2007/09/20 10:13 ---97.75.226
私はビオラにはスピロコアを使っています。
http://www.strad.co.jp/gen/viola.html#115
スチールで線がちょっと細いのですが、ヴァイオリンには主にドミナントですが、持ち替えても違和感はありません。
ヘリコアはヴァイオリン用しか使ったことがないので比較できませんが(これは楽器に合わないので止めました)、ビオラのスピロコアは長持ちするし、音もそこそこ良いと思います。
行きつけの工房の職人さんも、チェロは最近は良くないけれど、ビオラ用は良いといっていました。但しあまり出ないので在庫は置いていないとのこと。
こちらの過去ログを検索したところ、今井信子さんは全部スピロコアだったこともあるようですね。
http://www.strad.co.jp/log/qalog004.html
投稿者:ぶらっちぇ 投稿日時:2007/09/20 10:59 ---238.16.8
私の周囲にはスピロコアを張って大音響で鳴らしている御仁がいます。
端で聞いている限りなかなかよさそうで、そのうち試してみたいですね。
ヴィオラ弾きにはスチール愛好者も多いと言われますが……
Warchalの入手にはちょっと苦労しましたので、ひとこと。
直接、楽器店でWarchalを買えるようなお住まいでしたら問題ないですが、
通販だと定価で出しているネットショップしか見つかりません。
Warchalの日本総代理店のスガラボットさん言うところのm楽器さんのサイトでも
ヴァイオリン弦は通販のページはあっても、ヴィオラのKarneolは載っていません。
しかし、直接メールで頼むと割引価格+送料で販売してくれます。
ただし、Largeサイズ用(41〜42cm)しか扱っていないとのことでした。
Warchalをけなすようなことを書いてしまいましたが、
あくまでコストパフォーマンスという観点からです。
スガラボットさんの仰るとおり張りが弱いので指には優しく、弦の反応も俊敏です。
Alianceと比べると音色の魅力が落ちるように私には思われましたが、
操作性のよさで今のところ愛用しています。
ストラッドさんでヴィオラWarchalを扱ってくださるといいのですが。
投稿者:ぶらっちぇ 投稿日時:2007/09/20 11:03 ---238.16.8
失礼。Largeサイズ用(41〜43cm)の誤りです。
投稿者:あいうえお 投稿日時:2007/09/23 10:39 ---178.228.117
皆様、いろいろありがとうございました。
結局、A線:ラーセン、その他をアリアンスにすることに決めました。
ワーチャルは、ラージサイズしかないのですね。ワーチャルの
「シルバートーン」に近い音を試したかったのですが、残念です。
将来は、シノクサとスピロコアを試してみたいと思います!
それにしても、バイオリン弾きで、ビオラをお持ちの方がこんなに
いらっしゃるとは、ビックリしました。
今後、弦の交換時期が近づく度に、このスレッドを見直して
みようと思います。
皆様の有意義な情報提供に感謝します!
Q:ペグの先端の飛び出し具合
投稿者:ドングリ 投稿日時:2007/09/15 21:24 ---159.144.30
みなさんこんばんは。ヴァイオリンのことで質問があります。
ヴァイオリンのペグ(糸巻き)のことなんですが、私の楽器では現在、ペグの先端がペグボックスの側面から1mmくらい飛び出しています。この楽器を購入した10年ほど前は全く飛び出していませんでした。
果たしてペグの先端が何mmぐらい飛び出してきたらペグを交換しなければならないのでしょうか?
今のところペグの調子はとても良い状態で、キコキコ鳴ったりせずにスムースに調弦できています。
ペグの調子さえ良ければ、ペグの先端が2〜3mm飛び出してもペグを交換しなくても大丈夫なのでしょうか?
ご存知の方がいらしたら教えていただけると嬉しく思います。どうぞよろしくお願いします。
投稿者:汗かきダルマ 投稿日時:2007/09/16 12:58 ---2.55.111
オールドとかモダンのヴァイオリンだと3ミリぐらい糸巻きが飛び出している楽器を見かけることがありますので、それぐらいまでは大丈夫じゃないかと思います。ただ、あまりにも飛び出してくるとあまり見映えは良くない感じがします。オールドっぽくて使い込んだ感じがして良いと思う人もいるかも知れませんが。ご参考になれば幸いです。
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/16 21:25 ---13.42.231
糸巻きの先がペグボックスから飛び出すと 調弦のとき指が当たって不快だと言うひとがいます。
そのほかには 飛び出ているというだけでは 何の不都合もありません。
投稿者:ドングリ 投稿日時:2007/09/17 00:03 ---159.144.14
汗かきダルマ様、鈴木珍事様、レスありがとうございます。
今のところ1mmしか飛び出していないので、調弦のときに指が当たって不快だということはありませんが、2〜3mm飛び出してきたら当たって気になるかも知れませんね。
ヴァイオリンを買って最初の5年くらいは、ちょっとずつペグの先端が飛び出してきましたが、ここ5年くらいは1mmくらいの飛び出しという状態が続いています。調子が良いので、このまま10年くらいノントラブルで行けたらいいな、と思いますが、柘植(ボックスウッド)のペグは20年くらい使えるものなのでしょうか?
この質問についても、どうぞよろしくお願いします。
投稿者:猫丸 投稿日時:2007/09/17 09:11 ---144.150.187
どの位飛び出させるかは、職人さんの美的センスのようです。
ペグの太さと全体のバランスで、最初から5mm程度飛び出させる職人さんもいますが、飛び出し0でかまわないようです。
飛び出し3mmは飛び出している内には入りません。
ペグの寿命は、穴とのすりあわせの調整がきかなくなったとき、削りなおしても、無理と言うときが交換時ですが、使い様で、1生保つのでは無いでしょうか、柘植は黒檀や紫檀に比べて比較的柔らかいので(材料=結局お値段でピンキリです)消耗は早いと思います。
投稿者:ドンファン 投稿日時:2007/09/17 18:36 ---5.113.62
職人さんの美的センスというよりは、ペグボックスの小さい(幅の狭い)タイプの楽器は既製品ペグがどうしても飛び出してしまうことが多いです。(新作では反対に出ていないものも結構多い。これはやがて平らか少し出ていくことを見越している場合が多いです)
それに各各、飛び出しているからといってそれぞれをきれいに揃える様なことはあえてしないでしょう。
また、オールドなどは(ペグ穴埋め後、再形成が多い)調弦の際、これら古い木材の穴の周囲に係る力学的なものや摩擦などを考慮した時、わりと飛び出ている方が(無理なく力を分散出来て)いいようです。
尚、確かに柘植材は柔らかいので回している内に徐々にと磨耗(これは本体も同じ)して飛び出していきますが、一生(何年?)は無理としても通常の使用頻度では交換しなくても問題ないでしょうね。
それに楽器を買い換えたりすれば専門店で、ほぼこれらフィッティング・パーツは全て新品に交換、調整する場合が多いので次に買われるオーナーは心配いらないでしょうから。
投稿者:ドングリ 投稿日時:2007/09/17 20:29 ---159.144.105
猫丸様、ドンファン様、レスありがとうございます。
個人的には1mmぐらいの飛び出しであれば見た目的に気になりませんが、3mm以上飛び出してきたら見た目的に飛び出し過ぎな感じがすると思います。
柘植は柔らかいというイメージがありますが、私のヴァイオリンについているCrowsonのペグは柘植の割には結構硬くて、意外と減りは少ないように思います。私は調弦には神経質なので頻繁に調弦する方なのですが、その割には磨耗が少ないように思います。
ペグも楽器本体も十分に乾燥して安定してきたので、このままずっと同じペグを使い続けられたらラッキーだなと思います。
投稿者:猫丸 投稿日時:2007/09/19 09:48 ---2.159.174
>Crowsonのペグ
であれば、材料は良質です、他のものに比べて格段に違いますが、値段の高いので、当然と言えば当然です。
長年使用されている楽器で、お見受けしたところ、Crowsonかと思ってお聞きしたところHILLだとのことでした、かなり昔変えられたようです
プロですので使用頻度も高いでしょうが、一生持ちそうな感じです、猫丸の相棒にもCrowsonの柘植ペグを装着してありますがこちらも、相棒よりこちらの方が先にヘタりそうです。
投稿者:ドンファン 投稿日時:2007/09/19 13:46 ---172.172.45
>私のヴァイオリンについているCrowsonのペグは・・・
所謂、フィッティング4点セットで彼のものが付いてるということはかなりの楽器?(昔からストラドやガルネリ等名器御用達!としても名高い)とお見受けします。恐らくは著名オールドやモダンあたりではないでしょうか?まあ、推測ですが。(セットでなくても各パーツは個別にも購入出来ますよね)
しかし、これらフィッティングのデザインは何時まで見ていても飽きないですし、モデルとなったHILLの美的センス(機能美)というのでしょうか、弦楽器のオーソリティとして世界のトップに君臨する伝統・風格といったものをその意匠から確かに感じます。
最近は、廉価な楽器にもヒル・タイプのボックスウッド製を装着したものが多く見受けられますが、本家本元、英国製のものには足元にも及ばないといった感じです。
Gerald Crowson のボックスウッドは通常よりもはるかに固く特にペグでは磨耗が極めて少なく調弦の際のフィールも最高です。
顎当ても多量に汗をかいても安物にありがちな変色したり染料が溶け出したりといったこともなく、それでも長年の間には汗などの水分を適度に吸ってこれがまたいい感じの色になるんです。
ちなみに、フィッティングメーカーでは、ドイツの Otto Tempel、Götz 、フランスの Les Bois d'Harmonie、イタリアの Bogaro & Clemente などが有名です。いずれもクローソンほどではなさそうですが、Otto Tempel はチタン製のあご当て金具とツゲの染め方のバリエーション、Bogaro & Clemente はスネークウッドやフェルナンブーコを使ったフィッティングなどがラインナップにありますので、たまにこれらでドレスアップ?して楽器の雰囲気を変えることも出来ますね。
投稿者:猫丸 投稿日時:2007/09/19 23:06 ---2.155.220
書きそびれましたが。
HILLのペグが装着されていた楽器は、L.ストリオーニでした。
あごあても長年の経過で良い感じになっておりました。
これがHILLオリジナルなのでしょうが、柘植のペグ(一流メーカのもの)がそう簡単にへたるとは見えません。
そのHILLも店を閉めてしまい、何とも残念ですが、これも時代の流れでしょう
Crowson のボックスウッドのテールピースは機会があれば他のものと手にもって重さを比較してみて下さい、重いです、材料が違うのでしょう。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/19 23:32 ---6.35.211
以下、私見です。
ペグホール用リーマーでペグ孔を開けたり、拡げたりした経験のある方はわかると思うのですが、メイプルであってもほとんど抵抗なくあっという間に孔が拡がり、楽器本体は柔らかい木であるという感覚を持ちます。一方、ペグシェイバーでペグを削る時は、小型鉛筆削りで鉛筆を削るのに比べて、はるかに力が必要であり、ペグは結構固い材料であることを実感します。
ペグの先端が突き出てくるのは、主にはペグがすり減るからではなく、ペグ孔が拡がるからです。ペグが丈夫であれば、逆に楽器の方が痛みやすいということかと思います。
孔が拡がると、ペグ先が飛び出てきますが、それが邪魔なら飛び出た部分を再度ヤスリで削りおとせば、特には気にならなくなりますが、いったん削ると再利用したくても元には戻せません。
問題は、
1)弦を通す孔がペグ先側にだんだん寄ってしまい、結果弦を巻いた時にペグが緩みやすい巻き方となる。(一回くらいは、弦を通す孔を開け直すことで対応は可能)
2)持ち手側が短くなり調弦しにくくなる。
3)テーパーが適正でなくなり、スムースにあわせられなくなる。
ことかと思います。
どれだけ飛び出すかは余り問題ではなく、上記問題が出てきたら、修理のタイミングだと思います。ペグが高価でそれを使い続けるなら、楽器本体にブッシング(穴埋め)をして再度孔開けを行うことになります。一方ペグを交換するなら、少し太めのペグを選んで、孔側にはリーマでテーパーをつけた上でそれに合わせてペグを削りとりつけることになるのでしょう。
個人的には、上記1)〜3)の問題さえでなければ、2〜3ミリ最初に比べ飛び出しても全く問題ないと思っています。
投稿者:ドンファン 投稿日時:2007/09/20 01:46 ---172.172.45
以前、某専門店の店内展示会で弾かせて頂いたデル・ジェス(1734年製)にも確かGerald Crowsonのボックスウッドの4点セットが装着してあったように思います。
楽器自体はちょっと拍子抜け?する位、軽い(木が完全に乾燥しきっている?)のですが、やはりこの楽器の格に合ったものを装着するとなるとやはりCrowsonをおいて他にはないのかも知れませんね。
それに、オールド楽器には音の上からもボックスウッドが最も適しているようです(これには様々な考えや好みもあり、一概には言えませんが・・・)。
Crowsonのボックスウッドは確かに重いです。そしてとても堅い。
柘植材の産地にもよるのでしょうか?
これは柘植材の密度が本来、非常に緻密で堅いという(他の木より成長が遅い為)性質に由来しています。
国産の例えば、薩摩柘植(鹿児島県指宿地方)などは古くから高級櫛の材料として使われてきました。また、印鑑や将棋の駒にも使われています。
輸入の柘植(タイや中国)に比べ国産のものは更に緻密で堅いようです。これは日本が気温が低く更に柘植の成長を遅くしているからです。
Crowsonのボックスウッドなどは昔からの英国〜インド繋がりで
案外、そのあたりの材料を使っているのかも知れません(定かではありませんが)。まさか、高級・高価な日本柘植ということはないでしょうが・・・?(これらアジア産のものの軽く2〜3倍はします)
弦楽器のフィッティングはご存知の様に染色してあります。元々の色は黄色くてなめらかです。特にペグと本体(メープル)との擦れる部分は経年と共にどうしても本来の色が出てきます。
よく、柘植櫛が一生もので昔から母から子、子から孫へと1つの櫛を受け継いでいかれるのも柘植がいかに丈夫で折れにくく、そして使えば使うほど髪の油成分と椿油とを吸収して得も言えぬ美しい光沢を放つからです。
フィッティングも高級品は確かに一生もので、楽器と共に使えば使うほど馴染み、離せなくなるのは洋の東西を問わず共通していますね。
投稿者:ドングリ 投稿日時:2007/09/20 20:53 ---159.144.21
猫丸様、ドンファン様、弦喜様、レスありがとうございます。
たまたま当たりが良かったのかも知れませんが、自分のヴァイオリンは約10年間、工房で1度もペグを調整(ペグやペグ穴の削り直し)をしてもらったことがありませんが、要するに、ペグは楽器を買ったときのままの状態なのですが、ペグの動きに関してトラブルが起きたことがありません。
弦を張り替えるついでに、時々Hillのペグコンポジションを塗ったり、あるいはペグコンポジションを綺麗に拭き取って塗りな直したり、ということは自分でやってますが、ペグに関しては工房で調整してもらったことは一度も無いのです。
手に馴染んできたこともあって、年々使い易くなっているように感じます。
楽器を買ったばかりの頃よりも、今の方が、ほんの少しだけ乾燥が進んで、ペグが硬く引き締まってきたような気がします。これは、Hillのペグコンポジションを塗るときの手応えから感じる微妙な違いです。
湿度30%前後の極めて乾燥した場所で弾いても、ペグが緩んだりしないのは、ペグの水分がもう十分に抜けきっているからではないかと想像しています。
どんな空気環境でもキコキコ鳴ったりしない、この良好な状態で、これから10年・20年・・・という長期間、今のCrowsonのボックスウッドの美しいペグをずっと使い続けられたらいいな、と祈ってます。
Q:チェロの指板の形について
投稿者:ぴさま 投稿日時:2007/09/18 23:06 ---95.57.191
現在私が使っているチェロを含め、私のまわりのチェロは指板がきれいな曲線をえがいている(?)のですが、ひとつだけ形が「へ」の字型にG線のところで曲がっているもの(何年のどこ製かはわかりませんが、少々古い楽器です)があります。
たまたま私のまわりには前者が多いだけだと思いますが、この2つの違いは一体何なのでしょう?
言葉にするのが難しくて私の言いたいことが大変分かりにくいと思いますが、よろしくお願いします。
投稿者:ひのきち 投稿日時:2007/09/18 23:22 ---15.30.1
↓リンクを張るくらいしかできませんが、これと同じ話でしょうか。。
http://www.sasakivn.com/werkstatt/qa/griffbrettform.htm
投稿者:ぴさま 投稿日時:2007/09/19 20:11 ---95.57.191
言いたかったことはこのことです。
前から気になっていたので・・・
ひのきちさん、ありがとうございました。
Q:JUN BAMBA作のビオラについて
投稿者:JUN 投稿日時:2007/09/16 01:19 ---187.71.234
国産メーカーですと、なかなか転売がきかず困っています。日本人メーカーでも置いてくれる(委託)お店がありましたら、ご紹介いただけないでしょうか。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/16 09:46 ---6.34.234
以下、私見です。
その製作者のヴィオラであれば、買い手としては欲しいと思う人は結構いると思いますので、取り扱いやすいサイズのヴィオラであれば結構需要は高い気がします。
その作者の楽器である証拠があるのであれば、手っ取り早いのは、ヤフオクなどで出品し(=広告塔として使い)、試奏したいという人がいれば会って試奏してもらい、個人売買で取引を終わらせることかと思います。
ただし、買った時の値段で売れるなどとは毛頭考えることなく、購入金額の半額で売れればよし、という気持ちで臨んだほうがよいでしょう。(楽器店が間にはいると、例えば2〜3割くらいの仲介料をとるでしょうから、ますます条件は悪くなります。)
委託については、これも一般論となりますが、まずはネットでの楽器店リンクを最大限活用の上、主要なお店(数十件あると思います)に片っ端から電話して、まったく委託のチャンスがないのか、については、まずご自分でアクションされた方がよいです。それでもどうしても見つからない場合、ある意味やくざなお店を含む無名のお店や、ネットの売ります・買いますコーナーを探す必要がでますので、地域を指定した上でダメもとで再度書き込まれたらよいと思います。
なお、過去ログの中にも、委託の件はいくつか出ていますので、そちらにも眼を通してくださいね。
投稿者:フルビオ 投稿日時:2007/09/16 11:29 ---33.76.10
私はイタリア製のビオラを小売りの半値程度でヤフオクに出品したことがありますが、問い合わせもありませんでした。
ビオラはヴァイオリンと比べると注目度は低いので、粘り強く待つ必要があると思います。
ところで、製作者の方に委託販売してもらうことはできないのでしょうか。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/16 12:13 ---6.34.234
少し書き過ぎかも知れませんが、補足します。
上記、
>ヤフオクなどで出品し(=広告塔として使い)..個人売買で取引を終わらせること
と書かせていただいたのは、
1)まだ活躍中の製作者のものにつき日本内での贋作の可能性が少なく、また真贋については製作者本人が日本国内にいるのですぐに明確にできるため、買い手としても安心して取引できる。
2)その製作者は、日本の製作者の中では、使っている木材へのこだわりほか独自のポリシーを持つ個性的な製作者として、知名度が高い。
という点で、興味をもつ人が出る可能性が高く、露出度という点ではそこへの出品は非常に効果があると考えたからです。
時々出品される、イタリアラベルが貼られているだけで、遠い国の顔もよくわからない製作者、かつ贋作の危険性も高い、というイタリア手工ヴァイオリン(というふれこみ)の出品とは、受け手側の反応は異なると思っています。贋作が多い分、イタリア製の真作楽器を、そこで訴求する/販売するのは困難な状況にあると理解しています。
投稿者:ジュン 投稿日時:2007/09/16 12:29 ---25.136.175
委託販売を快く行ってくださる大手弦楽器店を知っていますが、ストラッドさんの掲示板で他店様のお名前を出すのは心苦しいです。
捨てアドで構いませんので、アドレスをご教示くださればお知らせいたします。
投稿者:フルビオ 投稿日時:2007/09/16 12:45 ---33.76.10
私が出品したビオラについて補足すると、同じ作者のヴァイオリンは注目度も高く、すぐに売れたのに対して、ビオラの注目度は非常に低かったということです。
JUNさんの楽器については、この掲示板に紹介された今なら注目されるかもしれませんね。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/16 15:10 ---6.34.234
>>フルビオ さん
ヴィオラの方が、ヴァイオリンに比べてはるかに動きが悪いのは確かですので、
>粘り強く待つ必要があると思います
には同意します。
(蛇足ですが、ダ・サロ モデルはヴィオラ弾きでも知らない人が多いのか、さらに動きは悪いでしょう。)
投稿者:ぶぶ 投稿日時:2007/09/16 20:10 ---180.244.17
番場さんの楽器、興味あります。
試奏できれば、割安に手に入るのなら金額にもよりますが欲しいですね。
ヤフオクに出されてはいかが??
それにしても、弦喜さんのアドヴァイスはとても参考になります。
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/16 21:18 ---13.42.231
委託販売は 出品する側に非常に不利です。
販売価格は半額以下になるうえ 手数料を店に払います。弦の新品を張り替えないと売れないといわれ、この代金も払います。また、磨かないと売れない、その他の調整をしないと売れないと言われ、この代金も払います。
場合によっては いくらで売ったか 教えてくれない店もあります。
50万円で買ったVnを20万円で委託販売するとき、6万円の手数料払い、弦や調整費を2万払い、いつから店頭に出るのかわからず、
売れてもいくらで売れたのかわからない という具合です。
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/17 01:37 ---13.42.231
寡聞にして知らないのですが、JUN BAMBA さんは 名器を作るという評判が高いのでしょうか?
売りに出したいのは 投稿者のJUNさんが お気に召さない楽器だからでしょうか?
投稿者:猫丸 投稿日時:2007/09/17 08:46 ---144.150.187
>寡聞にして知らないのですが、JUN BAMBA さんは 名器を作るという評判が高いのでしょうか?
知らないだけでしょう。
投稿者:JUN 投稿日時:2007/09/17 14:04 ---187.71.234
みなさま、ご回答ありがとうございます。
弦の張替え等調整を含め、いろいろと手間・お金をかけると、市場に出すのに、時間とお金がかかります。少しニスも剥げていたりいます。サイズも42センチ程度ありますので。
ただ、このまま置いておいても(持っていても)、仕方ないということもあり、どうしようかと思案しています。横板も厚めですので、小柄な人は無理かも知れません。今製作依頼すると、180〜200万円程度かと思います。ビオラが好きな若しくは製作者が好きな方がいれば、半額以下でもお譲りしてもいいと思います。ただし、ニスの剥げ、調整、弦の張替え等は全てご自身でいうのが前提です。やはり喜んで使っていただけることが私としても製作者としても本意だと思っております。自分としては何かこれを元に買い換えるということも考えておりません。たまたま余裕があったためその当時製作を依頼しただけですので。私はアマチュアのバイオリン弾きです。
投稿者:ドンファン 投稿日時:2007/09/17 14:45 ---5.113.62
>捨てアドで構いませんので、アドレスをご教示くださればお知らせいたします。
>ビオラが好きな若しくは製作者が好きな方がいれば、半額以下でもお譲りしてもいいと思います。
この掲示板の利用規約に、
・Q&Aを使って、楽器の売り込みをしないで下さい。
とありますので、ここは場所を変えてヤ〇オクにでも出品されては如何ですか?
幸い、邦人作家でもある程度名の知れた人の新作楽器なので半額以下スタートならば案外、すぐに買い手はつくかと思われます。
(過去、某イタリアンVnで専門店顔負け?の値段をつけて何度も何度も繰り返し出品されてたような例がありましたが、このようなネットオークションの事情や相場を今ひとつ呑み込めておいででないのか終いには「またあの楽器が出てる・・・」等の印象を万人に与え、やがては出品自体を諦める?(かどうかは定かではありません。案外、すでに売れたのかも知れませんが)事にもなりかねないので、出来るだけ最適価格の短期決戦!で行ったほうがスマートで賢明でしょうね。)以上、ご参考まで。
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/17 16:53 ---13.42.231
猫丸 さん
<知らないだけでしょう。
はい。知らないので質問しているのですが。
なにか情報を賜りたいのですが。
投稿者:猫丸 投稿日時:2007/09/17 17:18 ---144.150.187
ストラッドさんのリンクをご覧下さい、HPにたどり着けます。
弦楽器製作協会の理事のハズです、ストラッドとデルジェスを持っているあるソリストも、調整は彼の所です。
投稿者:鈴木珍事 投稿日時:2007/09/17 17:35 ---13.42.231
ありがとうございます。
http://www.bambalin.com/eng/
が出ました。
ウェブサイトでは 修理調整で世界的に有名な人と出てましたが、
楽器についてご存じの方は どうぞ 書き込みをお願いしたいです。
私も知りたいですし。
この場で BANBAさんの 製作したVlaの良さが 情報として出れば
広く、Vlaを捜しているひとに 買い気を促すのではないでしょうか。
投稿者:JUN 投稿日時:2007/09/17 17:52 ---187.71.234
掲示板の規約の件、失礼しました。
確かに売り込みともとれない発言です。深謝します。
投稿者:猫丸 投稿日時:2007/09/17 18:13 ---144.150.187
妙案があります。
弦楽器フェアーに毎回出展しているはずですので、一緒に展示させてもらうのはいかがですか。
出展作品はすべて、出展前に買い手が着いてしまっている様ですので、購入可能な唯一のVaになると思うので、会期中に売れてしまうでしょう。
制作者メンテナンス付きなら、信用度も大でしょうから。
投稿者:フルビオ 投稿日時:2007/09/18 10:18 ---97.75.226
番場さんは、以下のページで説明されているように、300年前の木を使って製作しているとのことです。
http://www.bambalin.com/jp/voice1.html
私も興味があり弦楽器フェアで弾いてみたのですが、独特の澄んだ音がしていたという記憶があります。具体的には、ちょっと忘れました。
古い木を使って製作しても古い音は出ないと聞き及んだので、工房の職人さんにその話をしたところ、番場さんの楽器は古い音がします、とのことでした。ご参考までに。
投稿者:phtalocyanine 投稿日時:2007/09/19 08:19 ---244.210.205
非常に雰囲気のある音がします。
オールド仕上げの楽器でしたら、ラベルを見なければ、新作だとわからないでしょう。
すばらしい楽器です。
仕事も非常に丁寧です。
いわゆるクレモナの楽器とは、一線を画します。
もし、番場さん本人から直接購入しているのであれば、まず、彼に相談するべきだと思います。
非常に丁寧に対応していただけるはずです。
投稿者:猫丸 投稿日時:2007/09/19 09:23 ---2.159.174
1)注文主の好み、希望を伺って。
2)前金はいただかないで。
3)出来上がった楽器が、お気に召さなければ、購入しなくて良い。
と言う条件でお作りしています、との事でした。
4)今までお気に召さなかった例は無かった。
と言うことでした。
本人から直接聞いた話ですので、そうでしょう。
Q:カーボン弓の毛がえ
投稿者:麻衣瀬 投稿日時:2007/09/14 17:57 ---168.80.157
工房によっては、カーボン弓に割高な交換工賃を設定しているところがありますが、カーボン弓の毛がえは、通常のフェルナンブーコの弓と違って、何か特別に気遣うことや手技があるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
投稿者:もくもく 投稿日時:2007/09/15 21:26 ---159.254.60
私は実際に見たわけではありませんが、一部のカーボン弓に
は毛の止め方が木の弓とは違うものがあったらしいです。
私が持っているカーボン弓はそのようなことはなく、
木の弓と同じでした。1時間以内で目前で毛替えして頂きました。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/15 21:59 ---6.35.64
ボンドで固めてボンドで接着してる弓(木、カーボン弓関係なく、主には中国製の安い弓のあるようです)に対し、別料金をとるところは聞いた事があるのですが、木の弓の毛替え料金とカーボン弓の毛替え料金を変えている工房があるとは知りませんでした。
具体的には、そのような工房をいくつくらいのご存知で、またカーボン弓としての割り増し料金はいくらなのでしょうか。
興味がありますので、ぜひ教えてください。
(そのような事例があるのであれば、なぜ特別料金の設定が必要か、可能性を想像してみたいと思います。)
投稿者:東大元暮 投稿日時:2007/09/15 22:34 ---48.220.73
この掲示板を提供して下さっているSTRADさんの
調整・修理のところに書いてありますね。
投稿者:弦喜 投稿日時:2007/09/15 23:51 ---6.35.64
>>東大元暮 さん
確かにそのお名前の通りですね。
となると、ストラッドさんの店員さんから某かの説明があればベストですが、商売上の話となって一般論にできないので、逆に話は難しくなりそうです(どちらかと言えば、「カーボン弓お断り」と言っているのに近い扱いに見えますね)。
なお、個人的には、カーボン弓でのいろいろなトラブルケースについて、頭の中で推定を始めていますが、あくまでも推測の域をでませんので、特に書き込みは行いません。*CarBow:Va弓、と中国製のVn&Va弓を所有しており、それらのそこそこ使える木の弓を模倣したカーボン弓については、基本的には木の弓と大差ないと思っていますが、それらの弱点からいくつかの仮説はたてられます。
投稿者:麻衣瀬 投稿日時:2007/09/17 03:08 ---168.80.157
麻衣瀬です。
>この掲示板を提供して下さっているSTRADさんの
>調整・修理のところに書いてありますね。
えええ〜〜〜〜え〜???!!
大変失礼しました。
ごめんなさい。特にストラッドさんに対して
他意はございませんでした。
申し訳ありません・・・・。
営業の支障になるようなら削除してくださって結構です。
本当に申し訳ありません・・・。
Q:楽器の格
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/13 08:46 ---126.180.86
先のスレッド「暫く楽器を弾かないとき」で最初の質問者の主旨から少し離れて楽器の格と価格の議論が盛り上がって来ました。スレッドの最後の方でクロアシさんから僕の発言も引用されたこともあって、この議論が不完全燃焼のままうやむやになることの無いように新しいスレッドを立ててみました。
すれ違っている議論の大きな論点の一つは、クロアシさんが指摘されているように『楽器にはその操作性に基づく「格」という特性のランクがあって、これが「価格」というランクとは独立に存在する』と言う事実です。このことを多くの方が理解されていないのではないかと思います。
僕は楽器の「能力の限界」、クロアシさんは「操作性」という言葉を用いてこの楽器の格を表現されています。この言葉で我々は奏者が楽器を弾くとき、その操作に対する楽器のレスポンス(反応)の善し悪しのことを言っています。この反応の特性としては、発音の立ち上がり、弓の圧力や速度の変化に対応する音量と音色の変化の幅、そして何よりもその反応結果が奏者の意図に従ったものであるかどうかが含まれます。
楽器のレスポンスに基づいた「格」はオールド、モダン、コンテンポラリーの区分とは別に存在します。それは材料と作者の工作技術(精度)、それと経年変化や取り扱いの結果による楽器の健康度に依存します。そしてこれが一台々々作りの違う手工楽器における楽器の個性となります。
名工の手になる楽器は、全体にこの尺度による品質が高く、バラツキも少ないのです。ですから同一区分の楽器の中で評価が確定している作者の手になる楽器は価格も高くなります。
モダンからオールドの楽器が発するシルバートーンは、それはそれは素晴らしい特質ですが、新作楽器でも「格」の高い楽器が発する音色も、その芸術性というか聴く人を感動させることでは決してひけをとるものではありません。演奏者の意図を十分に表現することが出来ます。新作楽器でもソロ・コンサートに通用するというのはこういう事です。
そして、この第一級の「格」の楽器の価格がコンテンポラリーで300万、モダンで1000万〜、オールドで5000万〜と言うのが実情でしょう。
少し論点がすっきりしたのではないかと思いますがいかがでしょうか。
投稿者:phtalocyanine 投稿日時:2007/09/13 09:14 ---244.210.206
スガラボットさんの意見に賛成です。
・・が、それは、本当の意味で楽器を鳴らせる人のお話です。
子供が、分数楽器から、4/4まで、バイオリンの大きさを子供の成長に合わせて変えてゆくように、いわゆる「楽器の格」も段階を追って、上げてゆくのが、奏者にとって幸せと考えます。
新作の操作性は良いが鳴らせない300万円もする楽器を初心者に渡しても、ちっとも良いと思わないでしょう。
モラッシ父などは、特にそういう楽器です。
楽器を一生に一台と決めるのでなく、奏者としての成長に合わせて、ちょうど良い楽器を選んでゆくことが、長く演奏を続けるコツだと思います。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/13 11:24 ---255.65.238
phtalocyanineさん、こんにちは。僕も貴方の仰る通りだと思います。
僕は前の「娘のバイオリン選びについて・・・悩んでます。」スレッドの中では「たとえ…音大志望であっても、最初のフルサイズは100万程度でよいのではと思います。」といっています。100万でも子供に与える楽器としては高価すぎるという意見もあるでしょう。ただ玩具ではないのだからこの辺は親御さんの価値観の問題だとも思いますが‥。
ただ新作の手工品で良くできた楽器は100万出せば1級品でなくとも1.5級以上のものがほとんどだと思いますので、その意味でリスクは少ないと思います。
> 新作の操作性は良いが鳴らせない300万円もする楽器
とも仰っていますが、確かに反応の良い楽器はその分必要な操作も微妙で、例えば弓を弾く位置(駒からの距離)が少し異なれば期待した音が出ない等ということがありますから一級格の楽器を扱うにはそれなりの経験と技術が必要というのも事実です。
この様に楽器と弾き手は互いに影響し合って成長していくのです。そのためにも、学習者にはある程度以上の格の楽器を与えてあげないと、可哀想だし成長にも支障が生じます。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/13 11:59 ---255.65.238
(続き)
あと、実際に演奏する立場として重要なのは「弾いていて楽しいか」です。一級格の楽器であるためにはこの項目が"YES"でなければなりません。
音楽は「音」が「楽しい」ことなのです。楽器をさらう苦労もそれは演奏をもっと楽しくしたいから、そしてさらえば楽しくなりそうだという手応えがあるからこそ続くのです。
うちの娘が受験の頃、プレッセンダを娘に与えたカミさんは当時350万ほどのモダンの二級品を弾いていたことがあります。ところがこれが弾いていても楽しくないと言うのです。隣でカミさんが弾くのを聞いていても別段出てくる音色が良くないとか貧弱だとかは思いませんでした。楽器の音色は年代相応に練れているようには感じていたのです。
ただ弾いている本人が期待したように楽器が反応してくれないと、「演奏が楽しくない→演奏に熱中できない→音楽にならない」という悪循環に入ります。こういう楽器では満足できません。
この時出てくる音がシルバートーンであるかどうかは直接には関係しません。要は如何に良いMusicが表現できるかなのです。楽器はそのための道具なのですからオールドに対する過剰な信仰は不毛です。
投稿者:phtalocyanine 投稿日時:2007/09/13 12:29 ---244.210.206
スガラボットさま
貴方の意見に全く同意しております。
子供のころから習い事として行なってきて、フルサイズのバイオリンを購入する際には、そのとおりだと思います。
出来るだけ、操作性の良い楽器を選んで、その楽器とともに成長するのが理想です。
また、プロ、セミプロの方もそう選ぶべきでしょう。
しかし、大人になってからバイオリンを始めた方にとってはどうでしょうか?
いくら操作性が良くたって、プロが一時間も弾いて、やっと音の出始めるような新作楽器を買っても、全く面白くありませんよね。(鳴り始める前に練習をやめちゃうかも・・笑)
それならば、少しバランスが悪くても、弾いた瞬間から気持ちよく鳴ってくれる少し古い楽器というのもチョイスのひとつだと思います。
私自身は、操作性が第一で、音は付加的なものと考えて楽器を選びます。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/13 13:39 ---4.232.40
スガラボットさん、見事な総括です。言うことありません。
仮に予算が限られていても、それに応じて充分格の高い楽器を選ぶことができることを、私は先のスレッドで主張したかったのです。まとまった形に代弁して下さってありがとうございます。伸び盛りの生徒さんや親御さんは、楽器を選ばれる際にぜひ参考にして頂きたいと思います。
>phtalocyanineさん
>しかし、大人になってからバイオリンを始めた方にとってはどうでしょうか?
そういう人には、精度は多少甘くとも心地よく鳴るヴァイオリンを選びます。モダンも選択肢に入るでしょう。キャリアによって、学習進度によって、楽器のニーズは当然さまざまですよね。
phtalocyanineさんは、どうもGBMの作り立てを念頭に置かれているようですね。私は試奏した事ないのでよく分からないのですが、例の30年説が本当なら、技術のある人でも自由自在に鳴らすのは大変なんじゃないですか? もし、私が、今の楽器を持っていてもいいからGBMも貰ってくれ、と言われたら(誰も言わないでしょうけど)、とりあえず30年以上経ったものを所望します。2007年製なんて渡された日には、鳴るまでにお爺さんになってしまいます。
基本的に、精度の高い楽器は素直に鳴るものだ思います。名器というのは、何か素晴らしい特別な音が出る楽器などではなく、あらゆる技術や表現を要求したとき、素直に反応してどこにも不満を感じさせない楽器のことだ、と最近思うようになりました。とはいえ、精度の高い楽器は音もいいですけど。
投稿者:phtalocyanine 投稿日時:2007/09/13 15:09 ---244.210.206
クロアシさん
操作性が最も重要だということは、お互い意見が一致ます。
なぜ、鳴らない楽器を買うかについてです。
某巨大掲示板である方が、「少しだけ弾きがたい楽器を選ぶと良い・・・・」という旨の意見をされておりました。非常に興味深い言葉だと思っております。
そして、私は、「弾きやすいけど、少しだけ鳴り難い楽器」を選ぶべきだと思っております。鳴らないではなく、鳴り難いというところがポイントです。
新作(10年物ぐらいまで)を購入するに際して、30分ほど試弾きをして、音が変わって来ないようであれば、あまり将来性が無いと判断します。
また、ある種の雑音のようなものが耳元で聞こえるような楽器も良しとします。(もちろん、数メートル離れればほとんど聞こえないようなものです。)
こういう楽器は、ホールを音で満たすことが出来ます。
もう一台、モラッシと同程度の新作がありますが、モラッシほどではありませんが、その様な傾向があります。
(私がそういう楽器が単にすきなのかもしれません。笑)
ただ、この様な楽器は、趣味で自分が弾くことを楽しむ人には向いていません。
投稿者:ドンファン 投稿日時:2007/09/13 15:28 ---5.113.62
面白そうなスレに誘われてやってきました。笑
実際、演奏家(者)は音が全てなので自身の長年の経験上、楽器のツボを心得ていますから所謂「操作性」「レスポンス」等で的確にそのあたりを見極める事が出来ますよね。
演奏家・・・プロでもソリスト、オケマン、レッスンプロと格は別れますし、アマでもプロ級はごまんといます。
このようなコーナーは、あくまでバーチャル上なので話の真偽も含め大風呂敷を広げて?何とでも言えるのも事実でしょう。(尚、決して特定の例を挙げているのではありません)この類の話題が好きなものとして拝見し、たまに中に加わることは楽しいものです。
私などは始めたのは子供の頃からですが一般学生オケ経由のせいぜいアマオケのコンマス・レベルで、練習曲は一応一通りやり、併せて協奏曲等ではメンコン、ブルッフ程度をしごかれながら何とか正統的に?終了した口です。(ちなみに先生は〇〇芸大出身)
さて、「操作性のよい楽器」なるものは奏者の意のままに的確にレスポンス良く表現できるに尽きると思います。
特に弓の微妙なニュアンスやあらゆる奏法をストレートにそのまま音に現すことの出来る楽器でしょうか。
ヴァイオリンは実に「労多くて功少なし」の楽器の一つだと思います。楽器をグレードアップして本人にはその余りの差が嬉しくても、周囲の人にどれだけその違いが分かるでしょうか?腕も含めて、音としていかに少しの差でもそれがはっきりと表に出てくることの難しさ・・・「表現」とはそれほどに難しいものだと思います。
あと、プロの方でも新作楽器をレコーディングや本番に使う人もいます。でも、一応はモダン〜オールドを持っていてサブ楽器として自身でも実験的?に使う意味合いが殆どでしょうか。
やはり帰るところはその年代の楽器に落ち着くと思います。
やはり名工の手による名器は(シルバートーン然り)理屈ぬきに万人の心を魅了するものを確かに持っていますから。
一昔前は、「100万か500万か」がラインでしたね。今ではモダンは1000万がラインですが、音で満足されてても?贋作の多さには愕然とします。先に述べたエミリア=ロマーニャ州の準名工の素晴らしい作品に誰でも知っているモダンのラベルを貼ったものを欧米の著名オケの奏者が多用しているのも事実です。はるかに大人である彼らはその真贋も把握した上で愛奏しています。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/13 16:15 ---4.232.40
>phtalocyanineさん
>「少しだけ弾きがたい楽器を選ぶと良い・・・・」
この書き込みは、私も読んだことがあります。
耳元で聞こえるある種の雑音のことを、「Z音」と名づけられていたように思います。板を少し厚めにするとこの音が出やすくなる、と、本で読んだことがあります。これによって、音の伸びも良くなるようですね。
Z音を得るために板を厚めに取る→だから少々鳴りにくい→でも造りが精密だから弾いている内に音が良くなるし、また、経年変化によっても鳴るようになる
といったところが、理屈でしょうか。私も、色々試奏して、実地に調べてみようと思います。特にGBM系列の楽器には興味を持っています。
>この様な楽器は、趣味で自分が弾くことを楽しむ人には向いていません。
同意します。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/13 17:34 ---255.65.238
>例の30年説 → クロアシさん、
このサイトの過去ログ検索で「30年」がうまくヒットしなかったので多少ポイントを外しているかも知れませんが、技術のある人でも自由自在に鳴らせない楽器は単に一級の格ではないというだけのことだと思います。確かにGBMの最近の作品を何本か僕も見ていますがそんなに感心しませんね。さすがに息子のSMの方はもう少しいい感じでしたけど。
たとえ新しい技法が開発されて、30年後には素晴らしい音で鳴るという楽器を提示されても、そんなの今僕は買いません。その点では僕もクロアシさんと同じです。「少年老いやすく楽なりがたし」ですよね。(もう少年じゃないか?)
最近凄いと思った新作はP.Pistoni。さすがにトリエンナーレをVc
とVnで2回優勝しただけのことはありますね。それから個人的にも知遇のある若手のMarco Osio。彼も2003/2006のトリエンナーレでVaが入賞。今年のチャイコフスキーコンクールでもVaが3位。そして2007のチェコのコンクールでも3位入賞と優勝こそしないもののダントツの入賞率ですね。両氏とも元はMorassi門下ですが、彼らの作品の鳴り方は最初から違います。ただ彼らは年に6〜12本しか製作しないそうですからなかなかお目にかかる機会がなくて…。
投稿者:phtalocyanine 投稿日時:2007/09/13 19:26 ---244.210.205
スガラボットさん
私はGBMを5挺程試したと思います。
私が持っている楽器以外は、良い思い出がありません。
今の楽器に出会うまでは、はっきり言って名前負けしていると思っていましたので、お気持ちは良くわかります。
今となっては、それらの楽器の真贋にすら疑いを持ちます。
ただ、銀座のGBMは、精度はについてはコメントできませんが、私の持っている楽器と同じ雰囲気があります。
それを100倍良くした楽器が、私の楽器です。(笑)
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/13 21:13 ---126.180.86
phtalocyanineさん、素晴らしいGBMをお持ちのようで大変喜ばしいことですね。
僕も「最近の…」と言ったのは暫く前のGBMはとは違うのではないかと思うからです。某M弦楽器店のWeb人気投票ではSMが1位、GBMは70年代との但し書き付きで2位ですからね。
来春医師国家試験を受けるという生徒さんの一人(お嬢さん)が15年ほど前から使っているGBMで去年の春素敵なシャコンヌを聴かせてくれたことがあります。彼女のお姉さんがやはり医師国家試験合格の直後青葉台のフィリアホールで開催したリサイタルで共演したのです。前の発言で書いたように、彼女はVn学習者として文字通りGBMと伴(共)に育った訳です。
そのGBMが最近はどうしたことなんでしょうね。ここで真贋論議をするつもりはありません。ただ前の発言でも書いたように、彼の弟子でもあるM.Osioになぜ年間12台しか作らないのかきいたところ、品質を維持するにはこれが精一杯だとのこと。これでどうして今日本でGBMの看板を掲げている店にその数が供給できるのでしょうか。
投稿者:セイジ 投稿日時:2007/09/14 03:28 ---151.3.246
2001年と1983年のGBMを芸大で教えていらっしゃる先生に弾き比べてもらったことがあります。
弦は両方ともエヴァ・ピラ、弓はヴィネロン(父)、座席数531席の響きの良いホールに溢れた音は、まさに圧巻でした。音のきらびやかさとパワーは、GBMがソリスト向けの楽器であることを物語り、その場に居合わせた聴衆は、皆、唖然とした顔つきで聞いていました。
2つの楽器には18年の開きがありますが、その程度は誤差の内という感じで、音質、音量の違いは大差ないレベルでした。最近作でも鳴るものは鳴ります。
GBMはホールの広大な空間で弾いた時に真価を発揮する楽器なので、楽器屋でちょっと弾いたぐらいでは実力はわからないかもしれませんね。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/14 06:52 ---4.232.40
この場に確度の低い風評を持ち込むのもどうかと思いますが。真贋問題あるいは徒弟制度の問題に収斂しているようです。
ttp://www.fstrings.com/board/index.asp?id=34392&page=1&sort=&t=
伝統的な作り方をしているクレモナの職人の場合、だいたい1年に6-7挺だと聞きました。M.Osioさんの年産12挺という数字は、手の速い人が、複数挺を同時進行で仕上げるなどして相当頑張っている感じだと思います。
セイジさんのお話を聞いて、最近作でも、出来の良いものは自由自在に鳴らせそうだと思いました。音の伸びは、楽器店での試奏でも(まあ、場所にもよるでしょうが)だいたい見当は付きます。
しかし、この状況では、よほどじっくり調べないと良いものに巡り合うのは難しそうですね。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/14 10:33 ---4.232.40
×この場に確度の低い風評を持ち込むのもどうかと思いますが。
○この場に確度の低い風評を持ち込むのもどうかと思いますが、以下のリンクを参照してください。
舌足らずな書き方でごめんなさい。リンクに書かれていることについては、私は判断を保留しています。あくまで参考程度に読んでいます。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/14 12:04 ---255.65.238
GBMについて単なる風評からの憶測に基づいて感想を書いてしまったことを反省しています。出来ることなら最後の1センテンスは削除していただければと思います。申し訳ありませんでした。
ところでphtalocyanine(フタロシアニン?)さんの「弾きやすいけど、少しだけ鳴り難い楽器」については僕も頷けることがあります。僕はビオラ弾きですがハンドル名にも使用させていただいているP.Sgrarabottoがこれに該当すると思います。
僕が自分の楽器は弾くのが結構難しいと言っとき「彼の楽器は板が厚くて鳴らしづらいという評判がある」と例のM.Osioが言っていました。確かに弾き始めてから30分ぐらいしないと、ちゃんと鳴らない感じでそう言う意味では苦労しています。もう一台使っているT.Hashimotoのビオラではそう感じはありません。
ただ、これが逆に一種の挑戦意欲にもなって、何とか弾きこなしてやろうという気持ちになるのです。楽器ってスンナリ思うようになるよりも、少しじゃじゃ馬な方が可愛いということありませんか?
楽器の反応のところでも書いたように、演奏者と楽器の関係は相互作用ですから、切磋琢磨という観点からもそれなりの手応えがないと…。この辺も楽器選びの一つのポイントかも知れませんね。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/26 10:27 ---4.232.16
保守の為に、上げさせてください。
”悩める母投稿2007年09月25日(火) Q:イタリア人製作者について”スレッドの最後において、この楽器の格の問題が再び持ちあがりました。話題が大きく変ってしまったので、私のレスに対する疑問反論等はこちらに宜しくお願いします。
私も長時間書き続けているので、論旨が乱暴だったり不注意に書きすぎた点が多々あると思います。そういったご指摘に就いて、必要があれば、時間の許す範囲でお答えしたり論点の修正を図ろうと思います。
私としては、特に用語の観点からこの問題を煮詰めて、この概念が誰にでも共有できるものにして行きたいと思っています。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/26 12:46 ---255.65.238
「楽器の格」という言葉使うとき、人は次の三つの意味の中からそのどれか或いはそれを組み合わせた概念を表していると考えられます。
1. 個々の楽器そのものの出来映え(見栄え、演奏性能など)
2. その楽器製作者のクラフトマン(工芸品作家)としてのランク
3. その楽器製作者の取引価格を基準としたランク
これが絵画の場合ですと2.はその画家の芸術家としてのランクになりますが、これら、特に2.と3.については一般的に理解されている通りの意味で特に大きな混乱はありません。
ところが、これがヴァイオリンの話になると途端に話がややこしくなるのです。ヴァイオリンは16〜17世紀の初頭、ストラディバリやヨーゼフ・ガルネリによって楽器として完成の域に達し、それ以降の製作者は彼らの高みに到達していないかのごとく一般的に理解されています。
これは上記3.の意味においては概ね正しいと言えますが、2.の意味では真実ではありません。ストラディバリやガルネリは確かに超A級の製作者ですが、彼らを凌駕しないまでも彼らに匹敵する製作者は後世に何人もいます。プレッセンダや最近ではポッジなどがその仲間入りをする人たちではないでしょうか。
これがもし絵画の場合なら、ダ・ビンチとルノワールとピカソでランク付けを変えようなどと言う人はいないでしょう。
投稿者:スガラボット 投稿日時:2007/09/26 12:55 ---255.65.238
<続き>
それでその超A級の製作者の楽器は、それがオールドであれモダンであれコンテンポラリーであれ、出来映えとその演奏性能は抜群で特有の風格を湛えた逸品が多いのです。見た目はある程度誰にでもわかりますが、演奏性能について云々するのはやはりそれなりの技量・実力の持ち主じゃないと無理ですね。人前でパガニーニのカプリスを演奏するときの切れの良さ、人の心に届く音楽表現の浸透度が問題になるのですから。この点においてクロアシさんも仰るようにコンテンポラリーの楽器でも良いモノはオールドやモダンにひけを取りません。
弦楽器の場合、ややこしいのは経年変化によって材料として用いられている木材の音響特性が一般的には好ましい方向に変化してくると言う点です。そのために前述2.と3.のランク付けが単なる骨董品としての希少価値以上に変化していきます。そう言う意味で書き手と読み手の双方で誤解がないよに、2.と3.を区別する適切な用語を定義しないとこの議論が永久にすれ違いに終わりそうな気がしますね。
さてここで僕やクロアシさんが言っているのは音大受験生などの学習者が楽器選択する上での考慮すべきポイントはまず1.項目なのです。そして、そのために当たり外れが少ないのが2.の製作者ランキングという訳です。それとこれはあまり化学的な話とは言えませんが、ヴァイオリンという道具はその製作者が、1ヶ月以上もの間に渡って何度も手をかけ、なぞりながら丹誠を込めて仕上げていきます。この過程で作者の想いが作品に吹き込まれていくのでしょう。その結果として生じる作品の風格を「格」という言葉で表現したくなるのかも知れません。
投稿者:クロアシ 投稿日時:2007/09/27 14:50 ---4.232.2
いつもながら、見事な論点整理で感服します(笑)。
>ヴァイオリンは16〜17世紀の初頭、ストラディバリやヨーゼフ・ガルネリによって楽器として完成の域に達し、それ以降の製作者は彼らの高みに到達していないかのごとく一般的に理解されています。
>ストラディバリやガルネリは確かに超A級の製作者ですが、彼らを凌駕しないまでも彼らに匹敵する製作者は後世に何人もいます。
私自身も、いつの時代にもストラド、デル・ジェス級のメーカーが常に輩出されている、という理解が前提になっています。他の方と「格」の話で食い違うのは、この前提から立場が異なっていることもあると思います。私から見れば、上記の例でいえば、StradivariとPressendaとPoggiは最高位で同格という判断になってしまうのですが、当然これは「楽器製作者の取引価格を基準としたランク」と相容れないわけです。
タームとしては「ディーラー的な格(付け)」とか「操作性を指標とした格(付け)」とか考えたりもするのですが、スガラボットさんが整理された”楽器製作者のクラフトマン(工芸品作家)としてのランク”、”楽器製作者の取引価格を基準としたランク”は表現がかなり的確なので、これをそのまま用いるのがいいかもしれません。
余談ですが、私もコンテンポラリーを議論する場合「音色はさておいて」というかたちで見解を留保することが多いですが、実は精度の高い操作性の良い楽器は音色も大変優れています。昔、楽器店で色々試奏していたとき、当時使っていたモダンと一級品のコンテンポラリーでは、聴きつけて店舗に入ってくる通行人の数が断然違っていたことを今でも覚えています。
音の伸びもさることながら、まさに「人の心に届く音楽表現の浸透度が違う」という印象でした。